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今流行のアドラー心理学を中心に、違う立場の心理学者の意見、主義、主張などを紹介していく書籍。人間は、自由な意思を持ち、潜在能力を発揮したいと願い、成長していく存在、というのがアドラーの思想。ポジティブな勇気づけで「よし、自分もがんばってみよう!!」という気持ちになれるのがアドラー心理抱くの特徴だ。

自分の短所を嘆いてもしかたない

大切なのは何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかだ。

アドラー心理学の特徴は、「所有の心理学」ではなく、「使用の心理学」といわれることだ。才能や、能力、顔立ち、身長といったものなど、与えられたもの(所有)は、あまり関係がなく、与えられたものを生かす(使用する)ことが重要なのだ、とアドラーは説いているわけである。

決めつけをするな!

私たちは、嫌いな人については、その人の全てを否定しようとする。わざわざ嫌なところを探すのである。この心理メカニズムを「ホーンズ効果」という。逆に、好きな人については、全てが素敵に見えてくる。こちらは「ハロー効果」という。嘘でもいいから「私はこの人が好きなんだ」と考えたほうが相手の美点が見えてくる。確かにこのほうが幸せだ。

対人関係における「受容性」

同情心から生まれる受容性。相手の感情に敏感になる人ほど「受容性」を持つことができ結果として、人付き合いが上手くいく。特に気を付けなければならないのが地位の高い人で、横柄で「嫌な奴」になる危険性が高い。偉くなればなるほど、相手の気持ちを汲み取れなくなってくるので注意が必要だ。

ある属性の人に対して「生理的に無理」というのは自己暗示で本当は無理でもなんでもない。「ヘビが嫌い」というのも自己暗示のせいなので、ちょっとした行動療法を受ければ、ヘビ恐怖症はすぐに治る。人間に対する嫌悪感も同じように治る。食べ物についても人間についても好き嫌いがないほうが世界が広がるのだ。

相手に対して悪い期待などを持たないようにすることが大切だ。悪い期待は、悪い結果を呼ぶ。これを心理学では「ゴーレム効果」と呼んでいる。「この人との関係は、ながく続きそう」「この人は、決して私を裏切らない」そう思うから相手もよくしてくれるようになるのである。

雨と戦ったり、負かそうとしても無駄だ

状況が悪い時は、ひたすら耐えていれば、そのうち事態が好転することは往々にしてある。自分の悲運を呪ったり、誰かに悪態をついたりするのではなく、ただ耐える。そのうち晴れが来ると信じて、自分ができる努力をする。ケンタッキーの創始者カーネル・サンダースは自分のレシピを買ってくれるレストランを見つけるまで1009店舗で断られた。ようやく事業を開始できたのは65歳になってからだそうだ。

部下ができないのは上司の指導力不足

最初からできない部下などいない。最初から使えない人間などいない。先輩や上司の影響を受けてできない部下になっていく。自分の部下が使えないと嘆く人は多いが、自分の指導力不足に気付いていないのであろう。もし部下が失敗した場合最善の方法は「罰」ではなく、落ち込む部下への「勇気づけ」だ。

コンプレックスをやる気の源泉とせよ

すべての人は劣等感を持っている。しかし、劣等感は病気ではない。むしろ、健康で正常な努力と成長への刺激である。

僕は数年前まで、80kg弱の体重がありコンプレックスだったが、その劣等感を解消するためダイエットに挑み、なかなか体重が落ちない時期もあったが、諦めず続けた結果、現在54.8kgまで落とすことに成功した。「劣等感」はネガティブなイメージがつきまとう言葉だが、それでこそ「負けてなるものか!」という不屈のやる気が生まれるのである。

アドラーがいうように、「いかなる経験」もそれ自体が何かを生み出す原因になるわけではない。その出来事に対して「自分がどう思うか」で、幸福と不幸が決まってくるのだ。

「人を愛する」「人と交わる」「働く」「生きる」「幸せになる」ということを60の項目に分け平易な言葉で書かれたアドラー初心者にも優しい内容となっています。ボリューム的には1.5〜2時間ぐらいで読み終えられるライトな書籍になっております。気になったとことを読み返すのにも適した作りになっています。(一つの項目が4ページ前後で構成されているため)