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扶桑社が新たに立ち上げたWebメディア「ハーバー・ビジネス・オンライン(HBO)」の連載「草の根保守の蠢動」が書籍化されたもの。

「日本会議のお仲間内閣」となった第三次安倍内閣

「日本会議国会議員懇談会」に所属する国会議員が第三次安倍内閣の全閣僚19名に占める割合は、8割を超えていた。

政治や宗教、草の根運動等に疎い僕は、この書籍ではじめて、「日本会議」の存在を知った。日本会議のWebサイトを見ると「日本会議が目指すもの」として下記のようなものがある。どう読み取るかは人によって違うと思うのでここでは書かない。

  1. 美しい伝統の国柄を明日の日本へ
  2. 新しい時代にふさわしい新憲法を
  3. 国の名誉と国民の命を守る政治を
  4. 日本の感性をはぐくむ教育の創造を
  5. 国の安全を高め世界への平和貢献を
  6. 共生共栄の心でむすぶ世界との友好を

日本会議による「地方活動」の実態

日本会議の運動手法はどのように実践されているのか?改憲運動に焦点を当てて見ていく。「1000万人署名集め」と「地方議会で『国に対し、早期に憲法改正を目指すことを求める意見書』を採択させる」というもの。現在、このような活発な請願運動により改憲へと動いている。派閥の領袖としてさえ権力基盤を構築しえないまま、安倍さんは総理総裁になったことから権力基盤が脆弱だった。そこに日本会議等が群がり影響力を行使できるようになったようだ。


  • 閣僚の参加議連等を見ていると、現在の安倍政権は、日本会議の影響を色濃く受けている様子がうかがえること。
  • 「緊急事態条項の創設」「憲法24条を改変し家族条項を追加すること」「憲法9条2項を改廃すること」という最近にわかに活発化した改憲議論は、その内容と優先順位ともに、日本会議周辺、とりわけ「日本政策研究センター」の年来の主張と全く同じであること。
  • 日本会議が展開する広範な「国民運動」の推進役を担っているのは、神社本庁でも神道政治連盟でも、また、その他の日本会議に参加する宗教団体でもなく「日本青年協議会」であること。
  • 「日本青年協議会」の会長であり日本会議事務総長である椛島有三も、”安倍総理の筆頭ブレーン”と呼ばれる「日本政策研究センター」を率いる伊藤哲夫も「生長の家学生運動」の出身であること。

日本政策研究センターの設立から31年。今やそのトップは安倍首相の筆頭ブレーンとなっている。

日本会議というからすごい巨大組織と思い読み進めていったが、以外と小ささ、弱さが散見する。活動資金が潤沢なわけでもなく、財界に強力なスポンサーがいるわけでもない。一昔前ならこの程度の団体なら「圧力団体の一つ」として扱われていたであろうが、他が小さくなったことから影響力が強くなったようだ。様々な挫折や失敗を乗り越え、今、安倍政権を支えるまでになったこの団体は、どんな左翼・リベラル陣営より頻繁にデモを行い、勉強会を開催し、陳情活動をを行い署名活動をしてきた。その地味とも言える市民活動が今「改憲」という結実を迎えようとしている。夏の参院選まで数か月、考えさせられる内容だった。