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友達のいない孤独な僕は、家族が死んだ後の孤独についてよく考える、人は結局、一人で死んでいく、孤独と友達になるのは悲しいことではないとしているこの本を手に取った。

孤独力をつける

男性よりも女性の方が長生きなのは、一人暮らしの能力が高いからで、これが低い男性は日々の家事でかかるストレスで寿命を縮める。これはいろんなとことで聞く話で、特に既婚男性で急に妻に先立たれた人なんかに起きやすいことだ。僕の場合は日々の買い物以外は大体できるが、トイレットペーパーがなくなっただけでも、生活が滞るというのには、ハッとさせられた。

今の人は、仲間はずれになることを恐れすぎている。仲間でいることにメリットがないなら仲間はむしろ、余計なものだという。同じ孤独でも「寂しい」と感じる人がいる一方、「一人でもいい」と思う人もいる。

孤独感から脱出する方法は、これで明白だろう。自分にも、他人にも、社会に対しても、あまり否定的にならない———これだけでいい、ということだ。

一人暮らしが少なかった昔と比べ、今は多数派。しかし「孤独」だけは付きまとう。この孤独と付き合っていくことが「孤独力」だ。

結婚するとパッとしなくなる「所帯やつれ」。今ではその姿勢は通用しない。これからは自分磨きは一生必要だというのが著者の見解だ。そこで作者が進めるのは、「独身だからできること」をがっちりやっておくこと。「独身貴族」という言葉があるように、お金も時間も自由になるこの時期は人間磨きの絶好の機会としている。

「結婚」を勘違いしていないか

結婚相談所や「婚活」についても東京工業大学教授・橋爪大三郎氏(社会学)の意見で面白いことが書かれていて、

「恋愛から結婚への過程は千差万別、それを他人に用意されたパッケージで、リスクを取らず最小限の労力で済まそうなんて、信じられません。クロゼットの洋服を選ぶ感覚で結婚相手を決める発想は、勘違いだよ、と言いたい」

これは独身の僕もそう思う。結婚までコンビニ化してしまった感があり、なんか違うなと思う。(僕の場合は結婚相談所や「婚活」をしても勝てる要素が少ないので、ある意味それができる人間に羨ましさを感じることもあるが…)結婚相談所のメリットは数多くの良質な出会いと理想の相手に出会える確率が高まるとしているが、結局高い会費を支払わせられるだけに終わる人も少なくないだろう。

「ひとりで生きる」ということ

最近では男女ともに「ひとりで生きる」ことが容易くなっている。そのせいか、こうしてひとりで暮らしている男女の方が、夫や妻と死別して一人暮らしになった人より生活力がある。仲間とばかりつるんで「おひとりさま」が苦手だといざひとりになった時、なにも出来ないということになりかねないと警鐘をならす。

この本の後半は老後について、孤独と向き合いながらどう過ごすかが書かれており、これからのことを考えさせられた。