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インターネットによって、いつでもどこでも大量の情報を得ることが可能となった現在、限られた時間の中で有益な情報いかに入手し、それを活用していくかが悩みの種だ。情報過多な時代を生き抜くための新聞・本の読み方、ネットの使い方、切り抜きの整理法、文章図解のコツなど、NHK時代から培ってきた池上流・知的生産術を惜しみなく公開する書籍。

素朴な疑問から派生する意外な情報

ISが戦っているシリアでは内戦が長く続いているため多くの人が難民となっている。難民が急激に増えたのは2015年頃から。「なぜ急激に増えたのだろう?」と思って調べるとどうやらスマホの普及が原因だという。GPSで迷うことなく移動でき、Facebookやツイッターなどで「ハンガリーの国境が封鎖された」などの情報も得られる。スマホの充電は各地でNPOやボランティア団体が充電ステーションを開設していることも分かった。従来の難民のイメージとは違うがこれが現状。

インターネットによる情報収集とデジタル・デトックス

「デジタル・デトックス」という言葉がある。これは一定期間、インターネットに繋がるデジタル機器をあえて使わないようにすることで、「自分の頭で考える時間」を捻出するため必要だという。インターネットの情報収集でもう一つ大事なのが、自分の考えとは異なる意見にも積極的に接してみること。これは僕も大事だと思っていて、ちょっと偏っているなという印象の人の本でも話題になってたり興味があるカテゴリーならばとりあえず読んでみる。読むに耐えない場合もあるが、俯瞰で読むと以外とこれが面白かったりする。

たった一段の「ベタ記事」が、実は面白い

新聞の楽しみ方として、紙面の下部に一段だけある短い記事「ベタ記事」が面白いという。特に国際面の「ベタ記事」が氏のオススメで「韓国要人のスマホ 北がハッキングか」なんていう記事が載っていたりして、北朝鮮によるサイバー攻撃も十分あり得ることが伺えたりする。そのほかにも最初は小さな記事でものちに大事に発展するケースもあり、こういった場合小さな記事のうちに読んでおけば、大事になった際ドヤ顔できるなんていう面白さもある。いろんなことにアンテナを張り、問題意識を持つことで情報は向こうから飛び込んでくる。

日々の読書で判断力を鍛える

なぜ本を読むのか?読書が趣味ということ以外に、世の中の動きを知っておく必要があるからだという。突然の出来事に対し「これはどういう意味だろう」「この裏側には何があるんだろう」と考えるための判断力を養ってくれるのが読書だからだ。ではどんな本が有用か、本の探し方について興味深いことが書かれている。本屋に行って、そのジャンルに関連する本を全部買い、片っ端から読んでいくうちにそのジャンルの基本となる本(一冊か二冊)に行き当たる、それが「定本」だ。この定本をしっかり読んでおけば、ほかの本にも同じようなことが書いてあるので簡単に目を通すだけですぐに把握できるというのだ。氏は「どうしてそんなに本が読めるのですか?」という質問に「酒が飲めないからです」と答えると、納得してくれる人が多いという話をしておりこれは同感だ。読書はいろんな立場や考えを持った人との「飲み会」だと考えれば、酒を飲む金で本を買って読み、いろんな考えに触れる。健康のためにも頭のためにも良いことだというのも頷ける。

行きつけの本屋に毎日通う理由

池上氏は行きつけの本屋に毎日通う理由も述べている。毎日通うことで、極めて効率的に本を選べるということ。ネット書店ではキーワードを入力してもタイトルにそれが含まれていないとヒットしなかったりする場合もある。その点、書店は効率よく本を探せるように工夫が凝らされている。僕は家にこもりがちなので、もっぱらAmazonで書籍やKindle本を購入するがそういったデメリットを補完するためレビュー(偏ったものや感情的なものは参考にしない)やコミュニティーサイトを利用している。Kindle本のメリットとして、これから日本でも展開されるであろうサービスにも期待がかかる。(Amazon Kindle本の定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」を8月よりサービス開始

こうやって日々本を漁っていると読書スピードが買うスピードに追いつかない積読状態が訪れる。しかし積んである本の背表紙を眺めているだけで、新たな発想が湧いてきたりと良い効果もあるのでそれも良しとする。

情報発信のためだけでなく、自分の考えを整理するために文章を書く

文章を書くことは、頭の中の整理に役立つ。僕の場合、読んだ本の気になったところをちょっとした感想とともにとにかく書き出すだけだ。最初は400字書くのも苦労していたが、習慣化してきてだんだん慣れてきた。文章表現力は弱いほうだが「色々なジャンルの本を読むことで、いつしか自分でも気づかないうちに文章表現力は身につくもの」という池上氏の言葉を信じて日々本を読んでいこうと思った。