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リーダーに求められる条件、行動規範や組織づくりなども実は脳の仕組みによってのところが多い。歴史に名を刻んだリーダーたちに共通するリーダー脳とは如何なるものか?脳科学により解析。

「革命」「改革」

「革命」「改革」と言うと、なんだか新しいことに挑戦する進化だと考えがちですが、それは、よい結果を生み出して初めて進化したと言えるのであって、新しいことも必ずしも進化とは言えないのです。かのマハトマ・ガンジーの名言に、「善きことは、カタツムリの速度で動く」というものがあります。この言葉どおり、彼が成し遂げたインド独立は、暴力を用いない漸進的な改革でした。さすがは人類史に輝く偉人です。彼は、急激な改革が民衆を苦しめるということを、よく理解していたのでしょう。しかし、「大胆な改革をする人がよきリーダーである」という人々の思い込みは根深いもので、世のリーダー論の多くもそのような主張に沿って書かれています。たとえば、企業再建を請け負ったリーダーを評価する際にも、大胆なリストラを断行して急激に業績を回復させた人が、名リーダーとしてもてはやされがちです。業績回復などの結果を出すことは、たしかに名リーダーの条件でしょう。しかし、そのためにとる手段が大規模なリストラなどの「急激な改革」であったなら、それは統一・一貫性に反する行動であり、華々しい成果の背後に、多くの人の苦しみが隠される結果を生み出します。組織に関わる人数が多ければ多いほど、急激な変化はリスクを伴うのです。たとえ、リーダーから見れば間違ったやり方であったとしても、その間違ったやり方に慣れ親しんだ人たちが大勢いるからです。急な改革は、その人たちの統一・一貫性を壊すことになります。それを強引にやれば、必ず大きな 傷痕 を残します。大企業同士の合併も、一見華々しく、大胆な改革として世を 賑わせがちです。しかし、それもまた統一・一貫性に反する行為なので、たくさんの人を苦しめる結果になりがちです。そもそも、完全に対等な企業合併などあり得ません。たとえ表面上は対等に見えても、実際にはどちらかの強い企業がもう一方の弱い企業を「呑み込む」形になるものです。したがって、呑み込まれた側の社員は苦しむことになりますし、呑み込んだ側の社員たちにとっても、それまでの仕事の統一・一貫性が大きく損なわれるわけですから、パフォーマンスの大幅な低下を招かざるを得ません。

大企業の統廃合で会社での企業風土がぶつかり合ってうまく機能しない、もしくはギクシャクするなんてことも現代社会では日常茶飯事。給料体系が吸収合併がわの物に変わって一気に辛くなるなんてことも。店舗や事業所の統廃合で職場を移ったりリストラされる場合もよくあること。

前向きで明るい自分

組織のリーダーなら、あるいはリーダーを目指すなら、毎日聴く音楽や読む本、周囲の人と話すときの言葉遣い、さらには服装などに至るまで、あらゆる面で、「前向きで明るい自分」に変わっていけるようなものを、意識的に選択していくことが大事です。それを日々くり返していけば、後ろ向きで暗い人も、少しずつリーダーにふさわしい心に変わっていけるはずです。

まずは形からリーダーを演じてみる。日常生活をより上質にすることその繰り返しで本物のリーダーの風格が出来上がる。気が抜けない。

優れたリーダーの条件

人間の気持ちや心の仕組みという脳科学の視点から「優れたリーダーの条件」をまとめてみると、以下の三点に集約できます。

① 先見の明と実行力を持っている

② 人間の脳が求めている、「違いを認めて共に生きる」考えで他国(あるいは他社など) との協調をはかり、人々に安全と幸せをもたらすことができる

③ 国民(社員など) と同期発火し、人間の才能を 遺憾 なく発揮できるシステムを構築し、組織を発展させる

この三つの条件をケネディにあてはめてみましょう。むろん、人間のすることである以上、ケネディが行った政治もすべてが満点だということはできません。しかし少なくとも、①②の条件を十分に満たしている政治家であることには、誰しも異存はないでしょう。私が最も驚かされたのは、③の条件をケネディほど高いレベルで満たしている政治家はほかに見当たらない、ということです。ケネディは、脳の仕組みを熟知していたのではないかと思えるほど、脳の仕組みにかなったやり方で人々を導いた政治家なのです。

あなたがリーダーとしての資質を持っているかのチェック項目。優れたリーダーでいるためには重要な条件なので頭に叩きこもう。

世界中の名リーダーを例に挙げ、リーダー論について考える書籍。過去を振り返りながらどのようにしてリーダーたちが苦境を克服してきたかがわかるので、現在行き詰まっているリーダーは必読!