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暴騰、暴落から何も学ばず来たるべき上昇トレンドで取引することの愚かさに気付いて欲しい。大恐慌を経験したワイコフのトレードエッセンスを誰にでもわかる形で提供。それは株式トレードに不可欠な考え方なのだ。

株式市場における需要と供給の法則の働き

注文が五〇〇〇株、一万株の単位ならその影響はより大きくなる。その株の需要、つまり「押し上げ圧力」がかなり強まって、株価を一ドル、二ドル、三ドルと押し上げる原動力となる。どのくらいになるのかは、そのレベルでの売り株数によって決まる抵抗力次第だ。これがもし一〇〇株単位の取引なら、その買い付けによって株価を上昇に向かわせる力は小さい。また一〇株や二〇株の端株の買い付けであれば、すぐに影響が現れることはない。それを売った端株業者が一〇〇株以上の株を最終的に買い戻して、はじめてその押し上げ圧力が市場に現れることになる。もし、その注文が売りだったなら、株数が一〇株でも一〇〇株でも一万株でも株価の引き下げの効果を持つ。その場合の効果は、売る株数に影響を受けるだけでなく、むしろ、売却時にその株の需要がどの程度あるかによって大きく左右される。一定の価格帯に買い手がほとんどいない、いわゆる「板の薄い」状態で、一〇〇〇株もの株を市場で売るようにブローカーに指示を出した場合、価格が半ポイントから三ポイントほど下落しないと、その株を引き取ってくれる買い手は見つからないだろう。しかし、注文の価格に一〇〇〇株以上の需要があれば、ブローカーは、まず間違いなくその価格で全株を売ることができる。この取引が大引けか大引け間際に行われたとすれば、ティッカーテープの記録を見た人は、銘柄にもよるが、それを相場の強さの現れと解釈するはずだ。非常に大口の投資家が、ある銘柄を二万株急いで買いたいと考えたとする。その場合に、直近の価格から五ポイント上までの範囲にそれに見合うだけの売り注文がないとき― 例えば一万か一万五〇〇〇株しか売り物がなかったとすれば、投資家の要求を実現するためには、おそらく六ポイントか七ポイント、あるいは一〇ポイントほども買値を上げざるを得ない。このように、買いの需要に対する供給が少なく、数ポイント価格を上げないと注文が通らないようなときにも、ティッカーテープの読み手は「相場は強い」と考えるだろう。これは、需要が供給をしのいでいる状態である。

個人の小口投資家は大口の売り買いが現れた際に敏感に察知できるかが鍵となってくる。登場で出来上がる売りや買いの圧力がどのように作用するかをきちんと頭に叩き込んでおけば波にのれる。逆に大口の投資家は取引の技術が要求される。相場を見ながら予定していたポジションまで持ち株を調整する技術だ。

トレードの方法

ニュースやうわさ、そのほかの情報は全部、ティッカーテープに記録された相場の動きのなかに現れることも、あなたはすでに知っている。例えば、J・P・モルガン社が、ある銘柄を五万株売りに出したとしても必ずしも株価は下落しない。ほかの会社がその価格で七万五〇〇〇株を買い付けて、その買い越し分の上昇力で株価が押し上げられるかもしれない。「相場が弱含むのは、だれかの出した売り注文に対して、その価格での買い注文数がかなり少ないからだ」と分かっている。こんなふうに、はっきりした理由もないのに大きな売り物が出るのは、「だれかが何かを知っている」ことを示している。もしかすると、ドイツに何か不都合があることを知ってヨーロッパから戻ってきた大口投資家が、三万株か四万株ほど売りに出しているのかもしれない。でも、だれがどれだけ売ろうとあなたは一向に気にしない。関心があるのは、買う力と売る力のどちらが強いのかを知って、勢いのある側でトレードをすることだけだ。

自分だけが知っている情報というのは一般の個人投資家ではなかなかないだろう。あったとしてもインサイダー情報ではつかまってしまう。あなたが知ったその情報はすでに織り込み済みであると考えた方が良い場合も。

ウォール街の誤信

私のアドバイスはこうだ。この厳しい相場で勝ち残れると思うのなら、一〇〇ドルを元手に試してみるとよい。しかし最初の一〇〇ドルで成功することはまずあり得ないだろう。もしそれを失ったら、もう一〇〇ドルをどこかでかき集めてくるのだ。こんなふうに、何とか一〇〇ドルがもつようになるまで続けるのさ。それができたら、そこが出発点になる。一〇〇〇ドルとか二〇〇〇ドルなくては始まらないなどと思い違いはしないように。それでは、ほかの一般大衆と同じことになってしまう。失敗したら、そのたびに理由をつきとめなさい。売りと買いの両側でトレードしなさい。それを機敏に使い分けるのだ。そして必ず損切りをしなさい。そうすれば最終的に利益が損失を上回ることになるだろう。常に敵に対して身構えていなさい。けっして彼らの猛攻撃を受けないようにしなさい。しかし、肝心なのは根気よくやって、ノウハウを本当に自分のものにすることだ。それができれば、資金の出所などに心を悩ます必要はなくなるに違いない」

まずは株式投資が気になるならお手軽なネット証券会社にでも口座を開いてみる。そこに身の丈にあった金額を投入し株式投資を体感してみよう。この際金額は失っても良いと思える金額でチャレンジすること。どんなセミナーよりも実戦は威力があります。自分が株式市場で良いパフォーマンスが上げられるかはその結果投入した金額が目減りしないよう運用することでわかるだろう。

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