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活版印刷が当たり前だった時代から、今ではデジタル化が進み、紙の本もワンクリックで翌日家に届く時代に。時代とともに変化する暮らしに順応し変化する人だけが生き残る時代。トップ1%の人たちの思考をハックして変革に参加しよう。

5つのビジネスプロセス

成功者はみな、次にあげる5つのビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させていたのです。何度も何度も、これらのプロセスを試行錯誤しながら繰り返す、というシンプルなルールにのっとって行動しているだけだったのです。そのプロセスとは、次の5つでした。

・顧客の抱える問題の「認知」(Awareness)

・問題解決のための従来と異なる「アプローチ」(Approach)

・アイデアのスピーディな「実行」(Action)

・仮説と実行結果の差異に対する「分析」(Analysis)

・マーケットニーズに合わせた柔軟な「適応」(Adjustment)

もう少しやさしく言い換えると、チャンスを見つけ、構想を練り、実行した結果を見ながら、自らを修正するということになります。これを何度も、何度も繰り返します。私は、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」 と呼んでいます。「5Aサイクル」を何度も回すことによって、そのビジネスはより強く、より精度が高く、より高い顧客価値を生み出していきます。「5Aサイクル」をベースにしたビジネスモデルは大きな利益を生み出します。ビジネスの芽を発見し、実験と試行錯誤を続けるという一連の取り組みが身についている人は、どんなに激しくビジネス環境が変わっても、その時々で、イノベーションを起こしていくことができます。

PDCAサイクルの進化版と考えればわかりやすいかもしれない「5Aサイクル」。より具体的になった5つのステップで確実に問題を炙り出し改善をしていきます。その上でビジネスはより力強く顧客価値を生み出すことでしょう。どんな状況下でもこれを基盤にしたアプローチで問題解決に挑めば百人力。

Appleのらしさ

たとえば アップル の「らしさ」は、稀代のクリエイター魂を持つ創業者スティーブ・ジョブズが作ったものです。アップルはそもそもコンピュータメーカーでしたが、今では、半分以上の売上がiPhoneという携帯電話メーカーです。しかし、主要製品のカテゴリが変わろうとも、私たちは、「この製品はいかにもアップルらしい」と感じることができます。それは、携帯電話やパソコンといった機械に機能だけでなく、ジョブズが求めたデザイン上の「セクシーさ」や、「驚くべき操作性やインターフェイス」があるからでしょう。企業文化のコアパーソン亡き後、アップルが「アップルらしさ」を保っていけるかどうかが、注目されます。

所有欲を掻き立てるアップル製品の数々だが、Apple製品で固めるメリットは大きい。Mac、iPhone、iPad間での連携がエグいぐらい使える。データの転送(AirDrop)やクリップボードの共有などは超使える小技だ。そして何より持っていて満足できる洗練されたデザイン。パソコンを仕事の道具だけではなく相棒として考えるとこれほど所有欲を掻き立てるものはない。クリエイティブ系のソフトとの相性も抜群で、ついついAdobeにお布施を払ってしまうのがMacユーザー。

Amazonのこれでもかという投資

オンライン書店アマゾン・ドット・コムが1997年に赤字のまま上場し、黒字に転換したのも、前述のアメーバと同じ6年目でした。その間、なかなか収益化せず、 累積赤字が1兆円に達しても、CEOのジェフ・ベゾスは周囲のプレッシャーを意に介しませんでした。周囲のリアル書店は巨額の赤字をたれながすアマゾンを冷ややかに見ていたわけですが、いったん黒字化すると、その後は、怒濤のように売上を伸ばしており、オンライン小売業の中で絶対的な存在感を示しています。2011年通期の業績は、売上高が前年比 41% 増の約480億ドル=3兆7500億円程度です。ちなみに、アマゾンはオンラインとはいえ、基本的には他の書店と変わらず営業利益率は5% 程度のようです。また、アマゾンはオンラインショップだけであれば安定的な黒字のはずですが、キンドルという電子ブックリーダーや、巨大なサーバインフラを活かしたクラウドサービスなどに巨額の投資を行っており、またもや先行投資によって大幅な減益、赤字転落が心配されています。が、これらも、CEOのジェフ・ベゾスの頭の中では、何年後に収益化という絵が描き上がっているのだと思います。おそらくサイバーエージェントのように、もっと収益性の高いビジネスを巨大なコンテンツデリバリーのプラットフォームに組み合わせることによって、長期的な利益構造を強化しようと考えているのでしょう。 一度、黒字になったからといって決して保守的にはならず、次々に新しいサービスを繰り出してくる 才覚には、いつも驚かされますね。

僕はKindle本をiPhoneアプリで読んでしまうのでKindleの電子ブックリーダーは持っていない。iPadもあるので必要とあらばiPadで事足りるのだが、雑誌以外はもっぱらiPhoneで読書します。投資を大規模に行って巨人となったAmazonの戦略。今ある事業を100倍の規模で行えというベンチャーキャピタル的発想がそこにはある。

1%のピラミッドの頂点に君臨する人々の思考回路をちょっとお借りして学んでいこうという書籍。そこには大胆で繊細な戦略が見え隠れしている。