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孤独というとネガティブな一面ばかり目についてしまうが、その孤独を味方につけた一流の孤独を目指してはいかがだろうか?孤独が寂しい人、孤独を楽しみたい人、孤独な人を応援したい人に向けた人生を豊かにする孤独のすすめ。

受け身としての孤独ではなく、自発的な孤独

僕はサラリーマン時代、博報堂でCMプランナーをしていました。CMの撮影で、日本全国や海外にもよくロケに行きました。CMの撮影隊は、ふだんはみんなバラバラです。撮影の時だけ「この指とまれ」で集まって、その仕事が終わると解散します。そのつど集まるユニットの形でした。ロケバスは一応ありますが、帰りは僕はいつも1人で電車で帰っていました。一緒に飛行機に乗る時も、席はみんなバラバラです。 集団で仕事をする人は、同時に1人になれる時間が必要になるのです。宇宙飛行士はトイレが長くなります。それは、年がら年中、あの狭いスペースの中でみんなと一緒にいるからです。トイレは、唯一1人になれる時間なのです。今の時代は、1人になるのはむずかしくなっています。たとえ家で1人でいても、次から次へとSNSで連絡が入ってくるからです。 便利なツールがあることで、1人でいようと思っても、常に「何してるの?」とノックされるのです。 「手を伸ばせば、すぐそこに誰かがいる」という状態がネット社会です。 それに慣れてしまうことで、1人でいることに対する不安感が湧いてきます。ケータイを忘れて会社に行くと、その瞬間にソワソワして落ちつかなくなります。電源が切れたら、それだけで不安に陥って、電源を探しまわります。これは受け身型の孤独です。いつも誰かと一緒にいることへの依存症になっているのです。誰かと一緒にいることも嫌いではないし、1人でいることも嫌いではないというのが、自発的な孤独なのです。

僕も孤独を愛する人の一人。過度に人と関わり合うと心が悲鳴を上げだすので、人との距離感を大事にして、近づきすぎる、僕のテリトリーに入り込みすぎる人はこちらから距離を置きます。こうして自分に最適な距離感を保っていると心も穏やかにいれます。

話す相手がいないことで書くことができる

今はSNSでいくらでも文章が書けます。ブログを書いている人が長続きしないのは、孤独の体験がないからです。SNSでは、何かを書いたら誰かが読んでくれます。それに対してレスがついたり、感想を言ってくれたり、「いいね!」を押してくれたりします。情報化社会では、そういうリアクションがあって書くことに慣れてしまいます。僕は大学時代、なんのコメントもない中で、ひたすら文章を書いていました。 誰からの依頼もなく、読者もいない中で書き続けていたのです。その体験をしていない人は、レスが少ないことで簡単に挫折してしまいます。偉人伝を読むと、凄い人は必ず若い時に孤独な時代を経ているのです。

現在はSNSやブログ、ライブ配信など発信する媒体が多種多様になってきています。僕のように家に篭っていると人恋しくなるのですが、人恋しくなればSNSに文章を書き込んだり、配信アプリでお気に入りのライバーさんと交流したりと寂しさを拭いとる手段はいくらでもあります。むしろ、リアルで友達や同僚との付き合いがない人の方がこうした媒体は威力を増すような気さえします。

まわりは、全員的でもなければ、味方でもない

二流の孤独は、自分のまわりにいる人たちを敵か味方で分けようとします。実際は、敵も味方もほとんどいないのです。味方が少ないからといって、残りはすべて敵というわけではありません。 「まわりの人たちの大半は敵でも味方でもない」と考えられるのが、一流の孤独です。自分を振り返ってみればわかります。自分が誰かの味方になるとか敵になるとか、ほとんど考えてはいません。スクランブル交差点ですれ違う人を、すべて敵と味方に分けることは不可能です。知り合いの中でも、「味方をするほどではないけど、敵というほどでもない」という人だらけです。人間の関係とは、そういうものです。 まわりの人を敵と味方に振り分けてしまうことが、しんどくなる原因です。自分のブログに対して「いいね!」をくれないと、それだけで「敵」という印象になります。メッセージを送ったのに開封していないとか、友達申請してくれないとか、「何かをしない」というだけで、その人を敵だと決めつけるのです。一方で、敵だと思われたくないから、友達申請でも「いいね!」でも、なんでもいいから押してしまう人も大量にいます。 情報化社会では、一見、敵も味方もたくさんいるように見えます。実際は、敵も味方も、ほんの少ししかいないのです。ネットで炎上した時は、四面楚歌で「全員が敵」と思い込みがちです。実際は、1人が何人ものアカウントを使って書いているだけです。これができるのがネット社会です。それに惑わされないことです。自分自身も、相手を敵か味方かで分けないようにします。むしろ自分勝手に「味方」と思っておくぐらいでいいのです。

周りの人を敵味方に分けるなんていうのはナンセンス。敵でもなければ味方でもない人がほとんどなわけですからあまり気にしないことをお勧めします。味方じゃないからそくアンチというわけでもないでしょうし。

孤独力を身につけ愛される人間に。孤独は心の中できちんと消化すれば人生を豊かにするものです。特に友人が少ないと嘆く若い人に読んでほしい書籍です。