book02043
デザイン思考とは人間が持つ様々な問題に対して答えを出すための考え方。様々なプロセスを経て人間を深く理解し、新しい創造物を生み出すアイデアを捻り出します。そんな問題解決、デザイン思考の専門家による解決策をスピード化する方法。

よいブレインストーミングにするために

「これから1時間でよいアイデアを考えましょう」というのでは、ブレインストーミングとはいえません。d.schoolのクラスでは3分、5分、 10 分といった短い時間で区切ることが多くありました。状況によって、1〜2分延長してみることもあります。もちろん 解決したいトピックやメンバーの熟練度によって、区切る時間は異なります ので、ここに書いてある時間しかダメということではありません。短すぎるとアイデアの広がりが足りなくなり、逆に長すぎるとメンバーが中だるみしてしまいます。うまく時間の制約を使って、よいアイデアを出すためのコントロールをしましょう。参加者が残り時間を意識して緊張感を持続できるように、時間を知らせる音楽や大きな時計があると便利です。私は残り時間が一目でわかる「タイムタイマー」というアイテムをよく使っています。

時間を区切ってブレインストーミングを行うことは他の書籍でもたびたび紹介されているので、さして新鮮味はないが、冗長なブレインストーミングになりがちな場合、意識してみるといいだろう。何かアイデアが浮かんだ時も素早く現場にフィードバックできることが重要。タイマーを使って行う意味は大きいように思う。

リフレーミングして考える

ほかにも、学生時代に取り上げたトピックに、「東京オリンピックを前に、海外から訪れる方の言葉の壁(Language barrier) をどう取り除くか」というものがありました。私たちのチームは「言語が通じないのが問題ではないか」と考え「アイコンでコミュニケーションがとれるTシャツをデザインしよう」というアイデアを出したのですが、正直なところ、うまく本当の問題を捉えられていなかったように思います。今から振り返ると、本当の問題とは「海外から来る人々との心の距離をどう埋めるか」だったのではないかと思っています。つまり、日本を訪れる人々と迎える側の人々が、いかにカルチャーギャップや心理的な壁を乗り越え、コミュニケーションがとれるような環境をつくれるか、より友だちになる方法や環境をつくれるか、というのが真に解くべき問題だったのではと思っています。いまではGoogle翻訳やPOCKETALKなど、言語の壁を超えるためのツールが数多く発売されていますが、本当にコミュニケーションをとりたい相手とは、たとえカタコトの言葉でも相手の言葉を理解しようと努めるでしょう。リフレーミングとはこのように、ユーザーインタビューなどの結果に対し、別の視点から「本当に解くべき問題を見つけてみる」ということなのです。こういったときには、できるだけバイアス(先入観) を取り除くことを意識してください。学校にしろ会社にしろ、さまざまなヒエラルキーとバイアスが存在しています。会社では多くの場合、「これが我が社の問題だ」と偉い人たちが言ったら、現場の社員たちは「問題を解決する方法を考えよう」と盲目的に従うだけです。「本当の問題は何か?」と考える時間もなければ、議論する方法ももち合わせていないからです。どんなときも、一度バイアスを取り除いて本当の問題を考えてみることは本当に重要です。

英語が苦手という人は案外多いのではないだろうか。旅行などでの日常会話程度なら話せる人でも、ビジネス英語はどうもという人も。最近ではGoogle翻訳やPOCKETALKなどの精度の高くなった翻訳アイテムが数多くリリースされているが、やはり生きた英語というレベルまでは至っていない。やはりコミュニケーションでは間に媒介がない方がスムーズにいく。

「想像しよう!」

ブレインストーミングの休憩後など、議論再開のきっかけに

人数:複数人

やり方 「ディスカッションを再開する前に、気持ちを落ち着けて想像力を取り戻しましょう。目を閉じて、これからお伝えする状況を想像してください。聞こえてきた音を、声に出して表現してみましょう」

①全員で目を閉じて座ります。

②ファシリテーターが、何らかのイメージを伝えます。自然や都会など、場所にまつわるものを表現力豊かに伝えてください。たとえば「自分たちはいま、緑が美しい渓谷にある川のほとりにいる」としましょう。

③参加者は、与えられたイメージを想像してください。どんな景色を見ているのか、どんな香りがするのか、そしてどんな音が聞こえてくるのか。イメージが固まったら目を開けて、そこで聞こえてきた音を声で表現します。静かに川が流れる「サーーーー」という音もあれば、どこからか聞こえた鳥の「ピピピピ……」という声もあるでしょう。

④全員が何らかの音を表現して、チームの雰囲気が落ち着いたら終了です。お題をもとに想像力を働かせ、声に出して共有し、みんなで一つのものをつくり上げる。これはブレインストーミングのときのアイデアやプロトタイプも同じです。各自のオリジナリティーを発揮しつつ、全員のアイデアを取り入れて完成させる。簡単なものを想像することを通じて落ち着いた空間がつくれたら、ディスカッションを再開しましょう。

想像力を働かせるためにしておきたい環境づくり。ブレインストーミングがなかなかうまく機能しないと感じたら実践してみるとよいでしょう。

クリエイティブな現場での問題解決のスピードを上げるブレインストーミングのやり方が詳しく書かれている。デザイン思考の本は数多くあるが、Kindle Unlimitedで読めるので入門編として読んでみるとよいでしょう。