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日々現場に立つ従業員にむけて、上司が今伝えるべきこととは何かをわからせてくれる書籍。

人生にミッションを持て

私が一番大切だと思うのが「ミッション」 です。私はこのミッションを「自分がこの世で生かされている理由」と解釈しています。私の尊敬する社会起業家の田坂広志さんは、志(ミッション)を「与えられた人生において、己のためだけではなく、多くの人のために、そして世の中のために、大切な何かを成し遂げようとする決意」 と定義しています。私がスターバックスのCEOを引き受けた一番の理由は、そのミッションに共感したからです。ヘッドハンティング会社からスターバックスのCEOのお話があったとき、すぐにハワード・シュルツが書いた『スターバックス成功物語』を読みました。「なんて人をとても大切にする会社だ!自分が経営者として大事にしてきたこととまさに同じだ」と感じ、ぜひスターバックスの皆さんと一緒に働きたいと思いました。 「人々の心を豊かで活力あるものにするために、ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」。 なんと素晴らしいミッションでしょう! スターバックスの給与は同業他社に比べて必ずしも高くはないのですが(もちろん精一杯上げる努力をしましたが)、従業員満足度はとても高く、離職率は極端に低かった。その最大の理由は、会社の掲げるミッションが隅々まで浸透して、みんなスターバックスで働くことを誇りにしているからです。

組織が大きくなるほどミッションはぼやけがち。従業員にそのミッションを周知させるには日々現場レベルで声を掛ける、もしくは言わずともわかるといった状態まで持っていかなければなりません。大抵の場合上はこういっているけど現場では‥‥といった事案がほとんど。まっすぐ一本通ったミッションを遂行するのは意外と難しいものだ。だからチャレンジする価値がある。

社員もアルバイトも、本社も現場も「役割」

スターバックスのお店では役職の上下にかかわらず、常にお互いに尊敬の念をもって接しています。いわゆる軍隊的な上下関係からは、ほど遠い組織体ですし、私はそんなスターバックスの文化に、今なお共感しています。この点はハタ君も同じだと思います。私が社長だったとき、ハタ君は私の肩書きに恐れることも、 媚びることもなかった。そのことが、私はどれだけうれしかったか。礼儀をもって人に接することは、社会人として当然のこと。でも過剰な気遣いは、コミュニケーションの阻害要因にしかなりません。ただ、誰もがあなたのように振る舞えればいいのですが、やはり社内には「社長は雲の上の存在だ」と思う人もいました。私が本部や店舗で気軽に話しかけても、緊張でコチコチになっているパートナーの皆さんもいました。私は「同じ会社に働く仲間なのに、どうして偉い人と思ってしまうのだろう」と感じていました。そこで私はよくラウンドテーブル(エリアのパートナーを 30 人ぐらい集めてフランクに話し合う場)で参加者に向けて、こういうお話をよくしていました。 「野球の守備でサードとピッチャーはどちらが偉いか、議論しても仕方ないですよね。ひょっとして私がピッチャーかもしれないけれど、サードがいなければ試合はできません。ライトがいなくても、ブルペンキャッチャーがいなくても同じことです。 どちらが偉いということではなく、それぞれの役割をこなさなければ試合はできない。私たちは守っているポジションが違うだけで、お互いに対等な関係なのです。

スターバックスのパートナーの中にはブラックエプロンというコーヒーの知識に精通した人間がいます。本当かどうかまで調べたわけではありませんが、ブラックエプロンのパートナーと、緑のエプロンのパートナーに給料の差はないのだそう。それだけブラックエプロンを身につけているという誇りのようなもので賃金とやる気のバランスをとっているのだと思います。

部下とは群れるな。ランチは一人でとれ

日本の大企業では 12 時になると、一斉に昼休みに入って、申し合わせたようにいつもの顔ぶれで、いつもの店に出かける、という光景がよく見られます。さらにそこで上司が「日替わり定食」を頼めば、「じゃあ、私も」と同席している人間が横並びで同じものを注文する。そんな光景に出合うと、私はがっかりしてしまいます。まず、なぜ 12 時からじゃなければならないのか。就業規則ならば仕方がありませんが、前か後ろにずらせば、行列に並ばずに、混み合ってない店内でゆっくり食事ができるのに、と思います。それに食べたいものくらい自分で考えてほしい。小さなことかもしれませんが、 自分で決めることが意思決定の訓練になる のです。結局、群れて食事をしながら何をしているかというと、職場の延長線上で、仕事の愚痴やゴシップネタばかり話している。これではせっかくの休み時間が休み時間ではなくなるし、不平不満を言いながら食べるごはんが美味しいはずがありません。そんなランチを当たり前だと思っている人たちは、往々にして何も考えていません。昼休みをどう過ごすか。リラックスのために使うのもいいでしょう。食事は手早く終えて、勉強の時間に充てるのもいいでしょう。こうしたところから、決して人任せにせず、自分の頭で考える習慣を身につけてほしいと思います。ハタ君はどうですか。どんな〝ランチ哲学〟を持っていますか。

ランチの時間をずらして時間を有効活用する取り組みはいろいろな会社で試み始めています。12時に一斉にランチ休憩を取るのは仕事の進み具合と関係ないので、非効率的。時間を活用したければランチの時間はずらすべき。

スターバックスCEOがおくる社員に贈り続けた31の言葉。ビジネスへのヒントが詰まっています。上司となり部下を持つようになったがなんと声かけしていいか分からないなどという悩みを抱えている人におすすめです。