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IoTビジネスの入門書。僕らの生活を劇的に変える技術から、ちょっとしたお役立ち機能。様々なモノがインターネットとつながることで得られる恩恵を考えます。

IoTでいう「モノ」とは何か?

IoTとは、「ありとあらゆるモノがインターネットに接続する世界」 のことを言っています。多くの人と話していると「これはIoTですか?」と個別に聞かれることもあるのですが、ひとまず「どれが?」という疑問は捨てて、「ありとあらゆるモノ」と覚えてください。中途半端に定義づけようとすると、IoTの本質的な側面を見逃すだけでなく、視野を狭め、チャンスを逃し、他社に後塵を拝するだけだからです。たとえば、椅子や机など、一見インターネットにつながっても意味がなさそうなものであっても、IoTでいうところでは、例外なく「モノ」となります。多くのビジネスマンにとっての「つまずき」は、自分の経験や知見から、「そんなモノ、インターネットにつないでも意味ないよね」と早い段階でIoTの対象から外してしまったり、技術的な解釈を優先して範囲を狭めてしまうことです。実際には、何でもかんでもインターネットにつなげばよいと言っているわけではないのですが、一度騙されたと思って「すべてのモノ」ととらえてください。

IoT対応の椅子や机どんなのだどう?一定時間デスクワークしていると自動でスタンディングデスクに変わるとか、姿勢を人間工学を使って最適化・補正できる椅子とかかな?アイデアの幅を狭めないためにも全てのものと位置付けるのは賛成。思いもよらないアイデアがこれからのスタンダードになる可能性も。

IoTの本格的な普及に必要なこと

IoT製品をつくっても、「単につくっただけでは、なかなか本格的には普及しない」という壁があることがわかりました。この壁を乗り越えるために不動産業界への応用や、介護への応用といった「着眼点を変える工夫が必要な場合がある」 ことについて見てきました。しかし、どんなに工夫をしても多くのヒトが利用しないと結局はその恩恵にあずかれません。では、どういうモノであれば本格的な普及が見込めるというのでしょうか。インターネットの普及を例にとると、インターネットは、今までなかったけれども、追加でパソコンというモノの購入が進む中で広がってきました。インターネットが登場するまでは、新聞やテレビといったオールドメディアからしか情報を収集することができず、しかも、そういったメディアの利用はあくまで受動的な情報収集でした。しかし、パソコンとインターネットを手に入れてから、私たちの情報収集は能動的になりました。つまり、われわれは、パソコンを「追加しただけ」で生活を変えることができたのです。一方で、特に消費者向けのIoTでは、単にモノを追加するのではなく、「これまで慣れ親しんだ(しかも安価な)モノを(高機能なモノに)置き換える」必要があるのです。スマートロックの例のように、たとえ置き換えが進んだとしても、これまでの生活習慣を変えないといけない場合や、カギという使いなれたモノを違う使い方で利用しなければいけない場合もあります。しかし、 圧倒的なコスト削減効果や、圧倒的な利便性による生活者の支持があれば状況は変わります。たとえば現在、みなさんは電車に乗るとき、自動改札機にカードをかざすのが当たり前になっていると思います。JR東日本がSuicaを導入したとき、しばらくは券売機で切符を買う人もいたものでした。

以前のようにインターネットといえばパソコンが必要だった時代から、今ではスマホを一人一台持っている世の中になったのでインターネットとの親和性の高いサービスなどが数多く生み出されている。スマートロックなどはネットを通じて解錠が可能だったり、スペアの一回だけ使えるIoTキー的なものを発行できたりと活躍の場は広がっている。鍵を忘れて下校した小学生が家から締め出されるというようなことは、僕らアラフォー世代あるあるだが、もはや古い体験となっている。

価格破壊

かつて、レコードデッキ、アンプ、スピーカーと別々のモノを組み合わせて利用していたオーディオは、今や音楽を再生する機能はiPodのような一つのモノとなり、さらには「iTunes Store」などのインターネットサービスに接続することで、いつでも、どこでも音楽を購入し、ダウンロードできるようになりました。さらに価格面を考えると、みなさんのつくるIoT製品が、既存のモノの延長上にある場合は、これまでの価格よりぐっと安くなる(100分の1、1000分の1といった単位で)ことでも、一気に普及が進むでしょう。IoTの本格的な導入には、こういった突出した利便性、もしくは、価格破壊について訴求できることが重要なのです。

僕らの学生時代は音楽といえばミニコンポとかカセットデッキが必要だったが今では音楽も動画も全てスマホで完結。それだけにスマホを欲しがる小学生などが多い。僕らの母親世代は子供がどんな音楽を聴いているかはステレオから流れる音楽で共有できた。しかし、今はスマホとイヤホンやヘッドホンを通じて効くので趣味嗜好が分かりづらいということを言っていてなるほどと思った。

IoTってよく聞くようになったけど、どこまでがIoT?という疑問に答えてくれます。これからの世の中のスタンダードとなる技術やアイデアの源泉となる可能性を秘めたIoTあなたのアイデアが世の中を変えるかも。