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禅僧にして、大学教授、庭園デザイナーとしても活躍する 著者がやさしく語りかける「人生のコツ」。
◎悩むより動く――そのほうが物事は絶対うまくいく
◎人と比べない――“妄想”の9割はこれで消える
◎前向きに受け取る――幸せかどうかは、あなたが決める
◎「お先にどうぞ」――求めない、あせらない、こだわらない
◎「朝」を大切にする――心に余裕をつくる最善の方法
◎余計なことを調べない――情報の“暴飲暴食”はやめる
◎「競争」から離れてみる――禅的「不安の遠ざけ方」
余計な不安や悩みを抱えないように、他人の価値観に振り回されないように、無駄なものをそぎ落とし、限りなくシンプルに生きる。――そんな生き方を指南してくれる、48の禅の教えを紹介。

妄想することなかれ

「莫妄想」 という禅語があります。その意味は、「妄想することなかれ」ということ。妄想というと、みなさんは、ありもしないことをあれこれ想像することだと思っているかもしれません。しかし、禅でいう妄想は、もっともっと広く深い意味を含んでいます。心を縛るもの、心に棲みついて離れないものは、すべて「妄想」です。 「あれが欲しい」という我欲も、「これを手放したくない」という執着も妄想です。他人がうらやましいという気持ちも、自分はダメだという思いも、実はすべて妄想なのです。もちろん、心をとらえるあらゆる妄想を断ち切って、いっさいの妄想と無縁で生きる、なんていうことはできません。それは仏様の境地。人間であるかぎり、心のどこかに妄想があって致し方なし、なのです。ですから、 大切なのは、「妄想」をできるだけ減らしていくということ。 これは、誰にでもできることなのです。そのために必要なのが、妄想の「正体」を見きわめることではないでしょうか。

僕は良いことも悪いこともよく妄想します。心配事があったらそれを起因とした未来の悪い出来事を想像してしまう癖があるのです。これは病気の症状でもありますが、僕の性格にも原因がありそうです。それを治すことができたら心配事のほとんどは解消できるのでなないだろうか。妄想することなかれ心に留めておきたい言葉です。

羨望

なにかにつけて、他人をうらやむ気持ちや自分を嘆く思いが、ムクムクと頭をもたげてきて、そのことに心がとらわれてしまうのです。まさしく、まわりに振り回されている姿、妄想にがんじがらめにされている姿といっていいでしょう。しかし、考えてみてください。 「比較」することに、なにか意味があるでしょうか。 「悟れば 好悪 無し」 という禅語があります。人間関係に引き寄せてその意味をいえば、他の人がどうであろうと、あるがままを認めたら、好きとか嫌いとか(自分に比べて相手が上とか下とか……)といった感情に流されることはない、ということでしょう。日本における曹洞宗の開祖・道元禅師も、「 他 は 是 れ 吾 にあらず」 といっています。他人のしたことは、自分のしたことにはならない、と教えています。他人が努力したことで、自分が向上することはありません。向上するためには自分が努力するしかないのです。禅はどんなものも、どんな人も、他とは比べようがない「絶対」の存在と教えます。あなたもそうですし、他人もそうです。 「比べようがない」のです。比べようがないものを比べようとするから、余計なことや無駄なものがまとわりついてしまい、不安や悩み、心配事が増えるのです。比較することをやめたら、そう、妄想の九割は消えてなくなります。心はずっと軽くなります。生きるのがずっとラクになります。 「莫妄想」――この言葉を折に触れて思い出してください。 この教えは、「比較なんかしないで、絶対の自分を信じて生きよ!」という、あなたへのエールです。

僕は他人との競争に敗れドロップアウトしたわけですが、それでも生きる道はたくさんあるということを皆に知ってほしい。よく勝ち組、負け組という言葉がありますが、そんな型に自分をはめこんで動けなくなるのはもったいないです。

一度手に入れたものは手放しがたい

一度手に入れた物はなかなか手放せない……。程度の差はあっても、みなさん、誰もが持っている感覚でしょう。実は、そのことが悩みのタネにもなっています。よくこんな声を聞きます。 「部屋が手狭になってしまって……。物っていつのまにか増えるよね」引っ越した当初は、すっきり片づいていて、快適に暮らすためのスペースも十分にあったはずの部屋が、いつのまにか物で溢れ返って、快適とはほど遠い空間になってしまった……。気分も滅入ります。「ゴミ屋敷」の住人は論外ですが、少なからず誰もが経験していることだと思います。  原因は明々白々です。 「手放せない」「捨てられない」 からです。  禅に「 喜捨」 という言葉があります。 「惜しむことなく喜んで捨てる」ということですが、お寺や神社でお賽銭を投げることを、こう表現するのです。大切なお金を、なぜ、喜んで捨てられるのか?それは、「ひとつ捨てることは、執着からひとつ離れること」 だからです。執着は心を曇らせる最たるものですから、捨てることは喜ぶべき行為なのです。物についても同じです。

最近僕は断捨離で過去にはまっていた趣味のものやなんかを一気に買い取ってもらい現金化しました。これがその時々の趣味にお金を投じてきたこともあり、結構な額に。一度手に入れたものもコレクション化せずに次の趣味にお金をつかった方が楽しめます。

心配性な人におくる書籍。心配事の9割は起こらないという事実を知って、前向きに生きる習慣をつけましょう。減らす、手放す、忘れるのスリーステップで人生を豊かに!