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時代を超えて成功者たちに読み継がれ、今なお絶大な影響力を持つ名著!この世界最高の「人生戦略の書」をどう読むか!
◆「長期戦」は絶対にしてはならない
◆致命的な痛手をこうむって勝つより、余力を残して負けよ
◆“逃げるが勝ち”――逆転勝利をつかむための兵法
◆「がむしゃらに頑張る」のは計画に無理があるからだ
◆「だます」のはまったく卑怯なことではない
◆自分が必死になるな、部下を必死にさせよ
ある意味で、人生もまた戦いである。深手を負ったり、苦境に突き落とされることもあるはずである。そんな苦境をどう乗り切るか。『孫子』を読むことによって、いくつもの貴重なヒントをくみとることができるに違いない。

戦争とは最終経済

経済学の立場からいうと、戦争というのは、「最終経済」であるといわれている。つまり、生産がなく消耗だけであるというのだ。考えてみると、人間の営為のなかで戦争ほど無駄なことはない。中国人はむかしから戦争について、「兵は 不祥 の 器」(『老子』)、「兵は凶器」(『史記』)と認識してきた。ここでいう「兵」とは、戦争の意味である。『孫子』とならぶ兵法書の『 尉繚子』にも、 「戦争はやむをえず行なうものである。敵対せぬ国を攻撃してはならず、 無辜 の民を殺してはならぬ。ひとの親たる者を殺し、ひとの財産を奪い、ひとの子女を奴隷にするのは、どれをとっても、盗賊の所行ではないか。戦争とは、暴逆な者を罪し、不正を抑止するための、万やむを得ぬ手段にすぎない」とある。しかし、そう認識しながら戦争を根絶できなかったのは、まぎれもない事実であって、『孫子』のむかしから、数かぎりない戦争が行なわれてきた。 『孫子』は冒頭でまず、戦争の重大性をズバリ指摘する。それを認識したうえで、戦争の法則性を研究せよというのだ。まことにきびしい指摘であるといわなければならない。そして、これが『孫子』十三篇を貫く根本の思想となっている。

平和な国に生まれた僕らは戦争の危機に直面することなく生きているが、すぐお隣では火種となりそうな事象は数々ある。進歩した世の中で戦争は経済へと移行しつつある。お隣中国とアメリカの貿易戦争は収まる気配を見せない。これには日本も少なからず影響を受けている。国内を見てみても韓国との関係を憂慮する人が増えつつあり、経済にも影響が。戦争は止むを得ず行うものという認識なら今はぐっと我慢するのが得策ではなかろうか。

百戦百勝は善の善なるものにあらず

戦争のしかたというのは、敵国を 傷めつけないで降服させるのが上策である。撃破して降服させるのは次善の策にすぎない。また、敵の軍団にしても、傷めつけないで降服させるのが上策であって、撃破して降服させるのは次善の策だ。大隊、中隊、小隊についても、同様である。したがって、百回戦って百回勝ったとしても、最善の策とはいえない。戦わないで敵を降服させることこそが、最善の策なのである。

戦争を起こすことの愚かさは有史がそれを語っている。高度に成長した世の中では、経済力を背景に各国が威信をかけて競い合っている。経済力で相手を屈服させるのが近現代の戦争なのである。そこで優位に立てばますます国は巨大化することだろう。

兵は多きを益とするにあらず

諸葛孔明は、自分の部下から「恐れられながら、同時に親しまれた」といわれる。これなど、部下の掌握術としては最高のレベルといってよい。どうしてそういうことが可能になったのか。賞罰のけじめがはっきりしていて、その適用がすこぶる公平無私であったからだという。孔明については、また、こんな話も伝えられている。北征の軍をおこして 祁山 に布陣したときのこと、兵十万のうち、二割を交替で帰国させ、残りの八万で守りを固めることにした。ところが、敵が接近してこぜり合いがはじまると、味方の参謀のあいだに不安が生じた。かれらは口をそろえて進言した。 「このままでは危い。帰国要員の交替を延期して兵員を確保しておきましょう」すると孔明は、「わしは兵士諸君に約束したことは必ず守ると誓ってきた。つぎの交替要員はすでに支度をととのえて、その日のくるのを待っている。また、国もとの妻子も首を長くしてかれらの帰還を楽しみにしている。困難な情況に直面しているとはいえ、いったん約束したことは守らなければならない」こういって、予定どおり交替要員の帰国を命じた。ところが、この話を伝え聞いた兵士たちは全員、帰国の延期を願い出、「命のかぎり戦って、諸葛公のご恩に報いようぞ」と誓い合ったという。

人望というのはいつの世も部下たちを鼓舞する。諸葛孔明はその点でも人心掌握術に長けていた。兵士の士気は戦場で大きな意味を持つ。現代においても会社員の皆様は上司に人望の厚い人がいればその人のために一肌脱ごうという気持ちになったりもするだろう。

考え抜かれた孫子の兵法は現代においてもその効力を発揮する。原著を読むのは骨が折れるので、こうした書籍でそのエッセンスをいただくもの一つのアイデアだろう。