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「老化」は、なぜ進化の過程で除去されてこなかったのだろうか。病気を進化的視点から取り上げるダーウィン医学と老化医学の融合をはかり、進化のかげで人類が受け入れた、老化という「トレードオフ」の可能性をさぐる。老化は、生命本来の営みと切っても切れない関係にあることがわかってきた。老化の多様性こそ、進化の証である。老化進化学入門。

内臓がスカスカになる

老化とともに萎縮する内臓の一例に、脳がある。終末分化した神経細胞はほとんど細胞分裂できない。最近、神経でも、後述する幹細胞の存在が確認されたが、それは例外的で、ほとんどの神経細胞は増殖できないため、神経は再生能力に非常に乏しい組織といえる。そのような脳組織では加齢とともに、神経細胞数が徐々に減少し、脳全体が萎縮もしくは脳室が拡大するようになる。ヒトやネズミの神経細胞一つひとつを観察しても、若い神経細胞では、樹状突起を張り巡らし、枝葉や根を張り巡らす若々しい樹木のようだが、老化した神経細胞では、老木が枯れていくように、樹状突起も徐々に消失して、細胞の大きさそのものも小さくなる(Scheibel et al. 1975)[4]( 図2.1)。さらに、老化細胞の特徴のひとつと呼ばれる、リポフスチン沈着も観察され、神経機能低下が、形態的にもうかがえる。個々の神経細胞の若々しい樹状突起の維持や、細胞機能の維持に必要な因子として、神経栄養因子(ニューロトロフィン;NTと略す) が知られており、NGF(nerve growth factor;神経成長因子)、BDNF(brain derived neurotrophic factor;脳由来神経栄養因子)、NT-3、NT-4などが含まれる(Hotta et al. 2009)[5]。これらの液性因子が老化とともに低下し、正常な神経が維持できなくなる一因となる。このように神経の老化では、いくつかの正常なものの欠乏が観察できる。一方、高齢者に多い中枢性疾患のひとつに、アルツハイマー病がある。日本では、アルツハイマー病や認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI) を含めると高齢者の4人に1人の割合になると予測され(厚生労働省研究班〔代表者・朝田 隆筑波大教授〕2013)、老化先進国日本の重要な問題といえる。アルツハイマー病の脳では、記憶を司る海馬や大脳皮質の一部などの脳の局所的萎縮が観察され、その原因は、アミロイドβやタウといった異常なものの蓄積が原因である。

脳の機能は鍛えることで維持することができるのだろうかという問いに脳科学は答えてくれる。歳と共に使わないとどんどん劣化する脳も使い続けることで老化を防げる。これは筋肉も同じで幾つになっても負荷をかけていればそれに答えてくれるのが脳や筋肉なのだ。一方内臓は不摂生により機能が低下する場合も多い。健康的な生活を続け食事にも気を配りたいものです。昔と比べて料理も格段に楽になってきているのでぜひ自炊を心がけてみましょう。

プログラムされなかった50歳以降

サルから人類が進化する近代まで600万年の過程のうち、徐々に寿命を延長するうえで、2足歩行は最も大きな意義をもった変化であったはずである。そして、最終的に20~25歳程度の寿命延長に成功し、1900年ころには先進国で平均寿命50歳前後を達成できたと考えられる。多くの生命体は外的・内的環境変化に適応するため、「生理的恒常性」と呼ばれる体内バランスを獲得し進化してきた。人類も、この600万年(あるいはそれよりさらに以前の太古の昔も含めて)の間に、進化上獲得した形質(2足歩行、陸上生活、ミトコンドリアによる大量エネルギー獲得、飢餓適応によるエネルギー貯蔵など) の蓄積により、寿命が少しずつ改善され、20~25歳程度延長したのであろう。一方、最近21世紀の先進国(たとえば米国やスウェーデン) の平均寿命は75歳前後であり、日本はさらにその上をいく(内閣府:平成23年版 高齢社会白書)。つまり、最近100年間で、同様に約25~30歳の寿命延長に人類は成功したことになる。前者の600万年かけて20~25歳寿命延長した事実と比較すると、後者はたった100年での爆発的寿命延長といえる。

最近では人生100年と言われるようになってきている。身近なお年寄りでも90歳を超える人が増えたように感じる。定年の年齢を考えてみても、老後長すぎ!!老後に2000万円必要とかいやそれではギリギリすぎて足りないという意見も。この先どんどん医療が発展していったら、病気で死ぬ人はますます減っていき老衰で100歳で死ぬ人も多くなるのではないかと思う。

僕はアラフォーだが老後のような生活を送っている。時間の自由がきく分、収入は少なめ、時間とお金はトレードオフの関係がある(ごく稀に不労所得だけで生活できている人もいるが)老化の生存戦略に関する書籍です。