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関係者待望の1冊! 業界トップコンサルタント、初の著書がついに刊行!2030年のアパレル業界の未来を徹底解説!これから10年でいったい何が起こるのか? 生き残る企業、消える仕事は?アパレルの最新動向・業界の課題・処方箋、すべてがこの1冊に凝縮!

■「服が売れない」は本当なのか?
■ユニクロ、ZOZO、良品計画・・・・・・、世界で戦うための秘策
■海外からも注目のスタートアップは、何をしているのか?
■無理をしてでもデジタル投資をしたほうがいいのか?
■イギリス、中国、アメリカ・・・・・・、迫り来る海外企業とどう戦うか
■2030年、消費者はどう変化していくのか?
■10年後、あなたの仕事はあるか?
■結局、いま何をしたらいいのか?

アパレル消費の今

いま、私たちはどんなところで服を買っているだろうか。多くの若者はパルコなどの駅ビルやららぽーとなどのショッピングモールに入るテナントショップで服を買う。また、スマートフォン経由でもさまざまな服を買う。スマートフォンには多くのアプリがダウンロードされており、アプリ経由でZOZOTOWNなどのEC(買い物ができるウェブサイト)にとんで新品を購入する一方、メルカリでは中古品を安く購入することを楽しむ。新品の高級ブランド品を少しでも安く購入したい消費者は、バイマなどの越境ECサイトを通じて、手軽に輸入することもできる。

皆さんもご存知の通り、現在アパレル市場で大きなシェアを誇っているのはファストファッションだ。比較的高品質のものを、大量生産することで破格の値段設定が可能となり多くの人に受け入れられている。機能性インナーなども人気で、下着だけはユニクロなんて人も多いようだ。

それとは別に新たなスタイルのアパレル消費も生まれてきている。それが「ワンショット消費」だ。「ワンショット消費」とは購入した服やアイテムを着用して「Instagram」などのSNSに投稿し、その後はメルカリに出品しすぐに売ってしまうというもの。僕の感覚から言うと、せっかく気に入って買ったハイブランドの服はなんども着用したいので理解できない。それに「SNSで上がってた服、着てるの見たことがないんだけど?」とか言って友達に「ワンショット消費」がバレかねない。これはちょっと恥ずかしい。それでもSNSでキラキラした自分を演出するのもブランディングと考えればありなのかもしれない。

アパレル産業の将来性

グローバルで見れば、アパレル産業は依然として成長産業である。最新の予測では、グローバルのアパレル市場は、2017年から2022年まで約5%の年平均成長率(物価変動を加味した名目ベースの値)を有している。年平均5%の成長は、5年間で市場が約28%成長することを意味する。これを実額で見ると、2015年に約143兆円だった市場は、2022年に約195兆円にまで拡大する。わかりやすくいうと、日本の国家予算の約半分という規模感の市場が、グローバルでは生まれているのだ。

こういった数字の背景には、人口増加や新興国における中間層の拡大と製造から小売まで全て自社で行うビジネスモデルによるファッションの浸透や富裕層の拡大などがある。特に伸びが大きい市場は南米や中東、アフリカ、アジアだ。足踏みが続いている日本のファッション業界だが、グローバルで見ると市場は拡大傾向にあるので、そこに目を向ければまだまだ日本の企業も伸びしろがあることになる。

最近ではファストファッションに対する反発なのか、「高くてもいいものを買って長く使う」というトレンドが生まれている。その結果成長市場が中間価格帯の市場から、高価格帯の市場へと変遷している。日本はこうした高価格帯のブランドで人気のものが少なく世界で見ると遅れをとっているようにも思える。

高い新品よりも中古品の方がコスパがいい

「単価」の下落を招く第一の要因は、「リユース市場の拡大」である。メルカリなどによるCtoCのフリマアプリ市場の規模は、2017年で4835億円となり、前年の3052億円から約60%の成長となった。メルカリで売ることを前提にして、アパレルを購入する若者も植えている。

新品のアイテムを手に入れたら、鮮度が落ちないうちにメルカリで出品する。ハイブランドの商品を半額で売ったとすると購入金額も半分回収できることになるので、今までは手の届かなかったアイテムも手に入れることができるということが起こる。

最近ではオフィスでスーツ以外の私服で過ごす職業が増えたことによって、カジュアル服の需要は高まっているような気がする。いわゆるIT系ビジネスエリートを模したスタイルも人気を集めている。ガチガチにハイブランドで固めるのではなく、ハイブランドのバッグにファストファッションのTシャツやパンツを合わせるといった柔軟性に富んだおしゃれを楽しんでいきたいです。