book01401
サリーを洗える全自動洗濯機(インド)、聖地メッカの方角を指し示す腕時計(中東)…日本企業が世界の暮らしに合わせて開発した商品の数々。柔軟な発想と“おもてなしの心”で、新たな市場を切り開いた成功例を満載!

ゴージャスなスイッチ

中国のマンションは、内装を施さないスケルトン(構造体)の状態で販売するのが一般的。間仕切りや設備は、買った人が自分の好みで仕上げることになる。ここに着目したパナソニックは、新築のマンションを鮮やかに飾ってもらおうと、日本では考えられないゴージャス(ぜいたく)感あふれる住宅用スイッチ、コンセントを2010年から発売している。日本で販売されているスイッチの多くはプラスチック製だが、中国向けのゴージャス版はアルミ製。シャンパンゴールド(クリーム色と金色の中間色)、紫、銀の 3 色から選べるようにした。内装工事の時に傷つけずに保管できるよう専用のケースも用意した。「商品発表会のために船上パーティーを開くなど、商品から売り方までゴージャスさにこだわった」(パナソニックエコソリューションズ社企画開発グループ海外事業推進チームの西田 将 能 さん)きっかけは「もっと商品の価格帯を増やせないか」との現地販売店からの声だった。高所得者層向けに価格を一般向けの 10 倍以上の200元(約3300円)に設定。その値段に見合う素材、質感を追求した結果、ゴージャスなスイッチが生まれた。

内装はゴージャス風でもスイッチの類が他の安価な物件と同じなんてことはよくありそうだ。細部までこだわりを持つ高所得者層を狙い撃ちしたナイスアイデアとでも言っておこう。家を買う時というのはどうしても財布の紐がゆるみがち。高価な買い物であるマイホーム購入時に割と高めな家具やカーテン、照明などを躊躇なく買ってしまったという人も多いだろう。金銭感覚が麻痺するこの瞬間をビジネスチャンスにしたわけだ。

中国では普段から朝食に食べる「おかゆ」

日本では病気の時に食べるイメージのおかゆ。中国では普段から朝食に食べることが多い。日本人が軟らかなおかゆを好むのに対し、中国人は、水をたくさん使ってスープに近い状態にする一方、コメのパサパサした食感も求めるという。象印マホービンは2003年、日本と同じ機能の炊飯器を上海で発売した。しかし、消費者からは「米がベチャベチャ」との不満の声が。巨大市場・中国から撤退するわけにはいかないと「中国人の好みにあったおかゆを炊ける」炊飯器の開発に乗り出した。中国人の好むおかゆは、水量が日本の約 2 倍必要で、炊飯中にふきこぼれてしまう。火力を落としてゆっくり炊くと、本体を大きくしなくてもふきこぼれなくなるが、米が水分を吸ってベチャベチャになる。「水の量、火力、時間を少しずつ変えながら」(大住洋・国際部マネージャー)実験を繰り返し、 11 年、「水分が多いがコメのパサパサ感も残る」おかゆを炊ける炊飯器の開発に成功した。 13 年 4 月には、日本で売っている高級炊飯器「南部鉄器 極め羽釜」に、長粒米用のおかゆモードを搭載して限定販売。大住さんは「飛ぶように売れた」と高級路線に自信を見せる。

販売される国の文化的特徴を加味した商品開発は重要。細かなニーズに答えられる技術力を持った日本の企業の真骨頂がここに。日本でも高級炊飯ジャーが人気となっているが、それ以上に中国向けの商品の販売数は目を見張るものがある。爆買いの訳はここにあったんですね。

食品・飲料・調味料・酒類

冷蔵庫でキンキンに冷やしたビールでのどを潤すことの多い夏。だが、国が違えばビールの冷やし方、飲み方も変わってくる。ベトナムでは、常温のビールに氷を入れて冷やし、飲む。冷蔵庫が飲食店にも普及していなかった時代に広がった。難点は、氷が解けるにつれ、ビールが薄まってしまい、本来の風味を損なってしまうこと。サッポロホールディングスは、氷入りでもビール本来の味わいを楽しんでもらおうと2012年、ベトナムの自社工場製の「SAPPORO PREMIUM(サッポロ・プレミアム)」を発売した。開発にあたっては「ホップや麦芽などの原材料や酵母を微調整しながら、そのまま飲んでもおいしく、氷を入れてもコクや苦みと味わいのバランスを楽しめるビールに仕上げた」(サッポロインターナショナルの野倉健児さん)という。さらに、薄い味のビールが好まれるベトナムで、コクや味わいを前面に打ち出しても受け入れられるかを確かめるため、地元産とサッポロ・プレミアムとの飲み比べ会を開催。「初めて飲む味だが、おいしい」などの評価を得たことから、商品投入を最終決定した。現地に合わせた商品の開発とともに、日本流のビールの飲み方を知ってもらうことにも取り組んでいる。

ビールではないが最近は強炭酸の商品が多く出回っていて嬉しい限りだ。店で買ってきてから冷蔵庫で冷やすまで待てず、氷を入れて飲む僕としては強炭酸がありがたいのだ。

日本の誇る企業群が海外でこっそりヒット商品を出しまくっていることがわかる書籍。海外の需要は意外なところにあるもんだなと感心しながら読みました。