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外では従順で人あたりがいいのに、家に帰るとぶすっとして黙り込んでしまう人、それまでは機嫌よくしていたのに、理由もわからず突然かんしゃくを起こす人......「不機嫌」になる人は、なぜそのようなことになるのか、「不機嫌」になる人の心理状態を解明し、本人も、「不機嫌」に振り回されて困っている身近な人も、お互いに幸せに生きるための道を探る。外では腰が低く、卑屈なほど他人に迎合する人は、家では愛想が悪く、支配的になる場合が多い。それはなぜかというと、他人に迎合する人には、自己否定、自己蔑視の感情があり、その感情を身近な人に投影しているからであると説く。自分自身を憎み、常に不安や不満を抱えている人は、どうすれば自分の世界を築き、強く生きることができるか。他人を愛し、自分を愛し、充実した人生を過ごすにはどうすればよいのか。言葉では言い表せなかった悩みが晴れて、明日へのヒントが見つかる一冊。

本人も気づいていない服従依存の関係

仕事熱心な人がある日、燃え尽きて、何もする気がなくなる。気が重い、何をするのも 億劫 だというようになる。何であんなに仕事熱心であった人が、と本人も周囲の人も驚く。それと同じである。何であんなにその人とのつき合いに満足していたのが、急に我慢できなくなるのかと驚く。しかし、それは実際のところ満足とは程遠いのである。そうしていなければ、つまり従順にしていなければ、不安でしかたなかったからこそ従順にしていたまでのことである。その人が自分にとって重要な人であった。その自分にとって重要な人に従順に従うことが、不安を寄せつけないために大切であったのである。相手は自分に忠実な部下として気に入っている。しかし相手の部下の心の底に敵意があるということに気がつかない。何故なら、部下が自分を犠牲にして上司のいうことを聞いているということがわからないからである。自分勝手だからである。

こうした服従依存の関係はいたるところで見受けられる。DVを続けられているのに、服従から逃れようとする。すると、生活できるか不安とかいう理由で、DV夫や妻と結局よりを戻すのもそういった例の一つ。本人も気づかないうちに心の奥底に服従依存の意識が根付いてしまっているのだ。こうなってくると他人がどうこういっても離れるのが難しい。なので、暴力や権力で縛ろうとする相手には近づかない方が良い。

いじめられる人は、何故いじめる人から離れられないのか

まことに不思議なことなのであるが、不安から自分を守るのに従順をもってする人は、自分をいじめる人のところに吸い寄せられていくようなところがある。私はこれらの人達の間には、もしかすると、共謀という心理作用が働いているのではないかと思うときもある。いじめられる人というのは、すべての人からいじめられるわけではないであろう。すると、何故いじめられる人は自分をいじめる人から離れられないのか、あるいはどうして自分をいじめるような人を寄せつけないということができないのか、そんな疑問がわく。  共謀とは、スイスの精神医学者ヴィリィによると、「同種の克服されない基本的な葛藤のために、二人またはそれ以上の組合せの人間が、ばらばらにではなく、互いにひそかに演じ合う共演を指す」(『夫婦関係の精神分析』中野良平、奥村満佐子訳・法政大学出版局刊)。いじめる者といじめられる者、利用する者と利用される者、何でも人に責任を押しつける者と、自分の責任でないことまで自分の責任のようにして背負い込む人、人の足を引っ張る人と 妬まれやすい人、何でも人を非難する人と自分を責める人、それらの人の間に何か共通の心理的障害はないものだろうか。

僕も中学校時代、クラスの中心的な奴にプロレス技とかかけられたりして世間から見たらいじめられていた。なのに僕はいじめられているとは思ったことがない。絶妙なバランスで暴力と友達という甘い蜜を使い分けられていたのだ。僕とそいつとの関係は友達というより服従関係。運動が苦手な僕に体育祭でリレーの選抜に勝手に推薦してきたりして迷惑だったが、部活も途中から幽霊部員となって友達が少なかった僕にはそいつが手を差し伸べる神に見えた。

「自分の世界」ができれば人は強くなれる

悩んでいる人は皆、自己中心的であるといわれるが、その通りである。悩んでいる人は、自分がいつも自分のことを考えているようには、他人は自分のことを考えていないということがわからない。そこで、他人への相談もしつこくなる。自分にとって理想の自己像は重要である。悩んでいる人はそれに執着する。しかし、他人にとって自分がその理想の自己像を実現するかどうかということは、そんなに重要なことではない。 いつも他人が、“〝 かくかくしかじか”〟 に自分のことを思ってくれないと気が済まない神経症的な人にとって、生きることは辛い。悩んでいる人、神経症的な人、自己中心的な人、甘えている人は、皆同じである。

仕事を辞めて全ての人との関わりも断って見ると、「自分の世界」を新たに作る必要がある。僕はそれをブログやSNSに求めた。毎日機嫌よく過ごすには「不機嫌」になる心理とはどういうものか知る必要がある。そんな心理を紐解いた書籍。