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すべてを“簡潔・明快”に――花王で開発され、著者が独自の改良を重ねた「課題解決メソッド」を初公開!優秀なリーダーとは、どのような存在でしょうか。それは「仕事をシンプルにする力」がある人のことです。この現代の複雑なビジネス環境の中で、本当にやるべきことを見極め、仕事を絞り込み、部下に明確な指示を与えてチームを成功に導く――。これができるリーダーが結果を出し続けるのです。――著者
◎会社の「問題」と、自分の「課題」を混同するな
◎仕事を「より少なく、しかしより良く」するのがリーダーの役目
◎「優先順位」だけでなく「劣後順位」も明確に決める
◎会議、段取り、情報共有……生産的な「職場のルール」
◎5つのタイプ別――シンプルかつ効果的な部下指導法
あなたのチームを変える!最短距離で結果を出す「選択と集中」マネジメント法

できるリーダーとダメなリーダーの違いは?

「できるリーダー」と「できないリーダー」。その違いはどこにあるのか?私は経営コンサルタントとして、いつもその点に注目してきました。しかし、結論からいうと、できるリーダーと、できないリーダーに、それほど多くの違いはありません。能力的にも大きな差はないのです。では、両者を分けるポイントは何か。どこにあるのか?結果を出しているリーダーをよく観察すると、冷静に、巧みに周りの状況を把握しながら、「やるべきこと」「やるべきでないこと」を的確に判断し、仕事を効率的、生産的に進めているのがわかります。できないリーダーのように、「あれも、これも……」とむやみに手を出さず、「あれか、これか」をしっかり選択し、自分の仕事も、チームの仕事も「シンプル」にする──。この「仕事をシンプルにする力」があるかどうかが、できるリーダーと、できないリーダーの分岐点なのです。

確かにできるリーダーは部下に無用な仕事を押し付けたりしない。あれこれ手をつけて重要な仕事がおろそかになるようなリーダーはいずれ評価の対象外と追いやられるだろう。「やるべきこと」と「やるべきでないこと」の選択をしっかりできていて、なおかつ効率的に仕事をこなすことが大事。まさにドラッカーの語る「選択と集中」である。仕事は足し算ではなく引き算で行うということを頭の片隅に置いておけばリーダーとしての役割を果たすことができるだろう。

仕事をシンプルにするには長期的な視野を持つこと。大きな成果は長期的な視点で戦略を立て、短期的な視点で戦術を練ることで得ることができる。無用な仕事がなければ、部下は目の前の仕事に全力を注ぐことができます。仕事というのは短期的に見て正解でも、長期で見て見ると捨てるべき選択肢であることも多いのです。

営業目標達成の道のり

たとえば、営業目標を達成する道のりで、 「A君のルート営業をやめさせて、新規営業と、ネット広告で売上を上げる業務を担当させる」という選択肢と、「A君のルート営業をやめさせて、ネット広告で売上を上げる業務を担当させる」という選択肢があったとすれば、後者を選ぶべきです。前者を選べば、A君は、いままでやっていた業務をやめて、二つの業務を担当することになります。これは、A君に負担をかけることになり、結果も出にくいうえ、それをフォローするリーダーの時間も労力も奪われることになります。

一度に複数の業務を担当させると、どちらも中途半端になりがち。この場合、新規営業を捨ててネット広告で売上を上げる業務に集中させるのは良いだろうということ。選択と集中である。

課題意識がリーダーを変える

「課題意識」とは、まさに、問題を「自分の課題としてとらえる意識」です。漠然とした問題意識を持つことではありません。このような意識を醸成することが、できるリーダーになるには必要不可欠です。ただ「頑張る!」「結果を出す!」という精神論、根性論では、結果は出ないのです。単なる「問題意識」から発展した、この「課題意識」を持つことで、リーダーならばマネジメント上の問題を具体的な課題として示し、チームのメンバーと一緒に「やるべきこと」「やるべきでないこと」を考え、解決していくことができます。また、一般の社員ならば日々の仕事における問題を自分の課題としてとらえ、実績を上げることが可能となります。

日々、仕事上でおこる問題を課題に変えて取り組むことは実績を上げるファーストステップと理解しよう。

「オズボーンのチェックリスト」

ブレーンストーミングの考案者として有名なオズボーンによる発散発想技法で、アイデアに詰まったときに、突破口を見つけるシンプルかつ効果的な、九つの質問リストです。

①他に使い道がないか?

②他に似たものを探してみたら?

③変更してみたら?

④大きくしてみたら?

⑤小さくしてみたら?

⑥置き換えてみたら?

⑦配置や並びを変えてみたら?

⑧逆にしてみたら?

⑨組み合わせてみたら?

いかがでしょうか。  このようにアイデアを進化させていく作業は、とても楽しいものです。

9つの質問で発想を!アイデアに詰まった時にこの質問を思い出して、ひねり出してみよう。突破口を見つける手助けになること請け合い。

チームを率いるリーダーになったばかりの人や、なかなか評価が得られないリーダーなどに最適なリーダー論。チームの仕事をシンプルにするリーダーこそ最高なのだ。