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「悲観主義」は気分、「楽観主義」は意志──弱音や諦め、悲観からはなにも生まれない。心理学の基礎から説いた「楽観主義」の生き方。幸せへの「強い意志力」が芽生える。

「悲観主義」の人の説明スタイル

世の中は、すべてにおいて不公平である」「 真面目 な性格の人は、いつも損をする」「教師なんて、皆信じられない」「お金のない 僕 は、何をしてもうまくいかない」「どんな薬を飲んだって 効き目がない」「勉強ができない自分は、何をやっても 駄目 だ」「病院なんて、どこも同じであてにならない」「私は、すべてにおいてこうなのだ。本当に情けない」といった説明スタイルが、「普遍的」な説明スタイルの代表的なものであるといえるでしょう。「普遍的」であるということは、説明スタイルに広がりがあるということを意味しています。ある一つのことで挫折をすると、他の面でもそうだと考えて、否定的な考えに 陥ってしまうのです。悲観主義者の説明スタイルの三つ目の特徴は、「個人的」、もしくは「内向的」であるということです。不幸な事態に陥った原因は、すべて自分自身にあると考えます。悪いことの原因を、自分自身に向けようとします。

物事に対して悲観的になる場合、このような説明スタイルが取られることが多いというのは理解できる。うまくいかない原因を自分の内へ内へと求めてしまうあまり、悲観スパイラルに陥ってしまう。僕も放っておいたらこうした思考回路に陥ってしまうので、意識的に楽観視することを心がけている。根が深い場合は簡単には切り替えられないが、それでも、漠然とした不安から逃れるには意識的な改革が必要だ。このような説明スタイルはその人の低い自尊心からくることが多いので、まず自尊心を満たしてやることも重要だ。

「論理療法」の視点

悲観主義的な人が、楽観主義的な思考へと自らを変えていくためには、自分に対する「認知(cognition)」、すなわち、自分に対する見方や考え方を変えていく必要があります。つまり、「自己認知」を変える必要があります。その意味では、心理学における論理療法の視点は、私たちの固定的なものの見方や考え方に修正を迫ろうとする点で、興味深いものがあります。「論理療法(rational-emotive therapy)」は、アメリカの 臨床心理学者、アルバート・エリス(Albert Ellis) によって提唱されました。認知行動療法の代表的なものの一つでもあります。頭文字をとって、「RET」ともいわれています。この理論の特徴は、人間の悩みは、なぜ生じるのかということを考えたときに、それは、多かれ少なかれ、非合理的な思いこみや、論理的必然性に欠ける信念によってもたらされると考えるところにあります。

悲観的な人でも楽観的になろうと思えばそれは可能だ。それには自己に対する見方や考え方を変えていく「自己認知」が必要というが、非合理的な思い込みや論理的必然性に欠ける信念というものはなかなか厄介で、僕らを悩ませる。

ペットと「癒し」

日本の成人では、韓国やイギリスに比べて、人間関係において癒されると感じている割合がきわめて低いことがわかります。それだけ、今日の日本の社会では、心豊かな人間関係を維持していくことが難しくなりつつあるといえるのかもしれません。これに対して、「ペットや動物と 触れ合っているときに癒されるか」では、「大変そう思う」と回答した割合は、イギリスで四三%、韓国で二六% であったのに対して、日本の成人では、五一% に達しました。同様に、「緑豊かな自然の中にいるときに癒されるか」に対して、「大変そう思う」と答えたのは、イギリスや韓国では五〇% 強であったのに対して、日本では、実に、八〇% 近くに達するという大変興味深い結果が得られました。今回の調査対象国の一つであるイギリスでは、パートナーや友人、父母など、人とのふれあいの時間や共有場面において、癒しを強く感じていることがよくわかります。とりわけ、異性の 伴侶 に対しては、そうした感情がより一層強く、それは、イギリスの男女ともに共通して認められる傾向のようです。

僕の住んでいるマンションはペット禁止なので、これからも飼うことはないだろうが、テレビで可愛い子犬や子猫の映像が流れるとほっこりした気分になる。犬種やなんかに好みはあるのだけれども、自分の好きな犬種が出てくるとなんとも言えない癒し効果を感じることができる。ペットの飼育は色々と面倒そうなので、可愛がりにいくだけの猫カフェなんかが人気を集めるのは分かる気がする。住宅事情でペットを飼えない人のための受け皿としての猫カフェや可愛い動画などはまだまだ人気を博すだろう。

自分自身を「値引き」することなく、評価してあげることは、楽観主義とともに重要な意味を持つ。悲観的だと思う人も、こうしたところからアプローチして行けば楽観主義に変えていくことが出来る。長所を伸ばす心理学で自分を変えていこう。