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著者は2万冊を超える蔵書の持ち主。時々まとめて古本屋に引き取ってもらうが、売ったはしから買ってしまうので、一向に減ることはない。そんな、つねに蔵書の山と闘い続けている著者が、煩悶の末に至った蔵書の理想とは?――「本棚は書斎を堕落させる」「血肉化した500冊があればいい」「自分の中で鮮度を失った本は一度手放す」「トランクルームを借りても安心するべからず」など、本といかに付き合う知恵が満載。

本棚に収まっているかぎりは‥‥

いくら本が多くても、本棚におさまっているかぎりは、いつでも検索可能な、頼もしい〝知的助っ人〟となる。それが、本棚からはみだし、床や階段に積み重なり始めたとたんに、融通のきかない〝邪魔者〟になっていく。そして、やがて抑えがきかなくなると、 氾濫 は〝災害〟の域にまで達する。今のところ、氾濫は地下に 留まっているからいいようなものの、やがて一階部分を侵蝕し、それでも飽き足らず、階段を伝って二階にまでせり上がってくると、本当に〝大惨事〟となる。

僕は本を本格的に読み始めたのが2〜3年前からなので、本棚から本が溢れて、床を占拠などということは経験がない。というより金銭事情もあいまって、書籍はブックオフに売り飛ばすものという習慣がついている。以前本を整理してあるラックがいっぱいになった時、本棚が必要かなと思いAmazonで本棚を検索したところ、意外としっかりした本棚って高い!東日本大震災の時、僕の住んでいる地域は震度5強だったので9階の我が家はテレビが倒れそうになるくらい揺れた。その経験から、本棚はしっかりしたものをと思ったのだが、読了後多分もう読み返さないような本は売ってしまえと思い切った。新刊を中心に読んでいるので、ブックオフでも1冊100〜300円程度で買い取ってもらえる(買取額30%UPキャンペーンをうまく利用しています)これで次の月の軍資金に。

床が抜けた!!

十年ほど前にこんな〝事件〟があった。都内の木造アパート二階に住む男性が、部屋に雑誌を大量に溜めこんで、床をぶち抜いたのである。これはニュースにもなったので、ご記憶の方もいるだろう。マルセル・エイメの短編小説に、壁を自由に通り抜けられる男を描いた「壁抜け男」があるが、彼は〝底抜け男〟。

僕は以前レコードを収集していた時期だあったのだが、これがダンボール1箱にいっぱい入るとかなりの重さになる。僕の集めたレコードはダンボール2個分(160枚程度)でブームが過ぎ去ったのでそれほどの床への負荷はかからなかったが、2000〜3000以上のレコードを所有する人たちは皆、床の軋みなどから危険を察知し、引っ越すか、レコードを手放すかの選択を迫られれいた。本で床が抜けるほど本をお金を気にせず買ってみたいものです。

「整理術」などない

これまでに蔵書については、ずいぶん取材を受けた。そのたびに「どうやって蔵書を整理されているんですか?」というような質問が来る。自宅の書斎兼書庫で取材を受けた場合は、「見ての通り、まったく整理なんかできていません」と言えるが、喫茶店などで話をするときは、どうやって言い逃れるか苦心する。整理術うんぬんを語れるのは、五千冊ぐらいまでの蔵書の場合だろう。通常一万冊あれば、店の規模にもよるが、一軒の古本屋が開けると言われている。一万冊を超え、二万冊に手が届く頃には、家一軒をすべて本のために使うぐらいの潤沢なスペースを持たないかぎり、整理どころではないというのが正直な話。こうなると結論は決まっていて、捨てるか売るかして数を減らすしかない。それ以外に、 体 のいい「整理術」などないのだ。

整理術と聞いてこの間テレビで某メンタリストの書庫を取材していたが、あれは本好きにとって理想だろうなとか思った。お金が許すならああいったリフォームもありなのだろうが、現実的には本を手放すかダンボールなどに仕分けして保管したりするのが僕の限界。1万冊とかありえませんww

本を読む人は意外と少ない

あるインターネット調査会社が二〇〇七年に行ったアンケートによると、一般の人が一か月に読んだり買ったりする本の量は以下の通り。「一か月の読書量は、雑誌を含めて『1冊から2冊』が 40・42%、『3冊から5冊』が 28・39%、一か月の書籍の購入数に関しては、およそ5割の人が『1冊から2冊』、2割弱の人が『3冊から5冊』であることがわかった」

僕の読書量は1日1冊というのが2年半前から続いている。動物でいえば希少種にでも当たるのだろうか。内訳は新刊とKindleUnlimited読み放題書籍が半々くらい。中にはベストセラーも含まれます。この調査は一般の人はという括りだが、自ら「本好き」であることを自認している人たちはどのくらい本を読んでいるのかの方が気になります。

蔵書について本好きが抱える様々な苦悩を面白おかしく書いてあります。本好きならではのあるあるも多数。数万冊の蔵書を持つ筆者だからこそ語れることがあるように思います。身の回りに積んだ本こそ活きるというのには共感!