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現代の人々は様々な疑問を抱えて生きている。自分はこれから先どうなるだろう?なぜ私は幸せになれないの?大人になったら何をしよう?一生の仕事はどうすれば見つかる?人生を想像し直すことなんてできる?どれか一つでも当てはまるのなら、ぜひ読み進めていってほしい。

常にどこかを目指し、どこにも止まらない

現代人は、生まれてからずっと映画や広告の影響を強く受けている。美しい場所できれいな男女が楽しげに語らう光景が、良い人生のイメージとして植えつけられているのも当然だ。でも、現実がそのイメージに追いつかなかったら?答えは簡単だ。追いつくように速度を上げる。あるいは別の場所に移る。もちろん長い目で見たら解決策にはならないかもしれない。でもテレビとコンピューターに塗りつぶされた今の文化に、もともと長期的な視点などない。時間はいつだって足りない。自分のための時間がないし、他の人に使う時間はもっと少ない。

慎重に言葉を選んで会話する人にイラつき、車は飛ばすし、スタバのラテは注文から15秒で出てきてもらいたい。スケジュールの書かれた手帳の埋まり具合でその人の重要度がわかる。時は金なりで週末の予定は何週間も前から埋まっている。そんな人たちが昔より増えている気がする。とにかく忙しいことが彼らのステータスなのだ。なので、わけのわからない、「俺、2日間忙しくて寝てないんだよね」などという自慢にもならない自慢がまかり通る。僕に言わせれば、「寝てない自慢」は睡眠という大切な行動を管理できていないだらしのない人としか思えない。人を楽しませたり、家でのんびりくつろいだり、家族を優先させたり、そういうことができる人ほど自己管理がちゃんとできている人だと思う。睡眠もしかり。

居場所は一体どこにある?

どこに住むのか、どんな風に生活するのか。良い人生を具体的に思い描くことができれば、それはおのずと決まってくる。家を買うと、その周辺の環境が丸ごとついてくる。ご近所さん、自治体のサービス、気候、税金、政治‥‥。こうした要因と住む人の価値観が良い化学反応を起こせば、家は安心と活力を与えてくれるところとなり、自分らしさをあますところなく表現できる場所となる。

僕は溝の口周辺で2度(3ヶ所)にわたり引越している。生活圏を変えず引っ越すことで、その周辺環境は変わらずに済み、満足している。長年にわたり住んでいるため、再開発などもあり変わってしまったところもあるが、庶民的なところが暮らしやすい。今ある環境を捨てより良い環境を求めて場所を変えることは人生の活力にも繋がるような気もする。

共に旅をする

とつぜん誰かが現れて、めくるめく恋と冒険の旅に連れて行ってくれないかな‥‥心の底では、そんなことを願っているのだ。出会い系サイトがこれだけ盛り上がっていることからもわかるように、運命の人に心をわしづかみにされるのを待っている人は多い。だが激しい感情に翻弄されれば、心のよりどころまで失うことになる。相手に自分のすべてをさらけ出す、つまり持っている荷物をすべてほどいて相手に見せる覚悟はあるだろうか。

僕も若い頃は出会い系のサイト(当時は掲示板のようなものだった)に登録して、同世代の男女と友達になったり、オフ会などで飲みに行ったり、気の合う仲間と旅行に行ったりしていた時期があった。今考えると、若いって怖いなと思うのだが、よく知らない相手に自分の荷物を残らず見せるなんて、今ではためらいもある。一から関係を築くには惨めな思いもするし苦しい目にも合う。こう行ったサイトで、女優のような超絶美人と友達になったり、関係を持つことはまず現実には起こらない。大抵は現実世界で人との関わりがうまく持てない人間や、サクラやナンパ師のような人間だ。それが悪いとは言わないが、僕はもういいやといった印象。

仕事のリパッキングこそ、現代を生き抜く上で不可欠なスキルだ

終身雇用はもう昔の話。社会は激動が続き、かつては隆盛を誇っていた産業も今や風前の灯火だし、安定の代名詞のように思われていた企業も大量のリストラに踏みきっている。安泰でいられる仕事なんてもはやどこにもなく、失職する危険性はどこにでも転がっている。あなたのいまの仕事だって、或る日とつぜん消失するかもしれない。

常に向上心を持ち仕事をする人でも激化する競争の中で、目まぐるしい進歩、情け容赦ないリストラの前では無力だ。不運にもリストラに遭ってしまうと、下手すると求職活動がこれから一生続くかもしれない。現実に、転職を繰り返し、なかなか安定した職場に恵まれない人は意外と多い。40歳定年と言われる時代、新卒を大量採用する文化が根強い日本では、中年になってリストラにあうと、その後、安定した職に就くのは難しい。より市場価値の高いスキルを「才能のポートフォリオ」としてリパッキングする力こそ現代を生き抜く不可欠なスキルと言えるのかもしれない。

人生を棚卸ししてみて、いらない荷物といる荷物を誤魔化さずに確認し、リパッキングしていく。人生の中盤を迎えた40代の人に読んでほしい一冊です。