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不動産市場の未来予測本。価値を保てる不動産から、価値ゼロどころかマイナス価値の不動産まで。「不動産格差」はすでに全国各所で顕在化しています。どこに住むのがいいのか?マンションや一戸建て選びで失敗しないための情報が満載。最近はやりのリノベーション住宅の見極め方なども紹介しています。

不動産は三極化する

もう一つは「不動産市場の三極化」です。国内のほとんどの不動産は下がり続け、価値ゼロないしはマイナス価値に向かう物件が出てくる中で、一部の不動産には上昇の余地が残されています。その内訳はざっと、「価値維持あるいは上昇する 10〜15%」「徐々に価値を下げ続ける 70%」「無価値あるいはマイナス価値に向かう 15〜20%」といった具合です。

どんなタイミングで、どこに不動産を買うかでこのように大幅に違いが出てきて、勝ち組と負け組がはっきり分かれる。しかし「価値維持あるいは上昇する 10〜15%」の物件を選ぶには運だけでなく正しい知識と相場観が必要だ。価値ある物件でも、買う時期を間違えて高値でつかまされては、その後、価値が下がる一方だ。相場観について言えば、中古マンションの価格は日経平均との連動性が高いと言われている。まず都心3区→5区→城南地区→城西地区→城東・城北地区と波及し、首都圏では、東京→神奈川→埼玉→千葉の順で波及します。一方、新築マンションは用地仕入れから販売までタイムラグがあるので中古マンションほど敏感ではないという。今後の不動産価格について言えば、日本の経済成長や、給与所得の上昇を伴わない場合、それはバブルであるといっていいだろう。住宅の供給過剰で価格が暴落する可能性も。

少子・高齢化、人口減という流れの中、今後は、価格が上昇ないし維持される不動産と、下落し続ける不動産のコントラストはより鮮明に。市場が求めるマンションと駅の距離は、近年短くなる傾向があり、以前は「駅徒歩10分」だったのが現在は「駅徒歩7分」が目安となっているそうです。7分を超えると極端に買い手が少なくなります。

持ち家に対する「マインド」の変化

以前と違ってきているのは、持ち家に対する「マインド」です。今の若い人は、所有することについて、かつてのようなステータスを感じていません。ただでさえ少なくなる一方の住宅購入層が持ち家思考を持たなければ、不動産需要は大幅減となり、大きな価格下落圧力につながります。

ただでさえ、給与所得が減少している昨今、ものを所有することに対する「マインド」が大きく変わってきていると思う。不動産のみならず、ブランド物の洋服やバッグなどでも持っていることをアピールすることは恥ずかしくてかっこ悪いことだと思う若者が増えている。多くの若者がそういった思考を持つようになったにもかかわらず、不動産の供給は止まらない。これでは、不動産価格も過剰供給で下がることは必至。新築マンションなどは、買って住んだ瞬間に価値がどーんと下がる現象が起こっている。新築信仰が強い日本らしい出来事だ。

沿線ごとの人口増減格差

今後、沿線別の格差も広がっていきます。首都圏の人口動態を見て見ましょう。図表10は、2035年の夜間人口と生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口層)の増減を、東京都市圏の21沿線別に予測したものです(2005年比)。ざっと見ただけでも、沿線によって大きくばらつきがあることがわかります。沿線格差がさらに拡大することにも注目してください。「人口増減率」シミュレーションによれば、ダントツで優秀なのは、「田園都市線」です。(中略)一方、芳しくないのは「日比谷線・東武伊勢崎線・日光線」です。

図表10は国土交通省「東京都市圏における鉄道沿線の動向と東武伊勢崎線沿線地域の予測・分析【4.将来人口から見た鉄道沿線の評価結果】」を見てください。僕の沿線でもある田園都市線はこれから先人口が増加傾向に。人口増加によって利便性の高い住みやすい地域になるのはありがたいが、そうなってくると、人混みが苦手な僕にとっては日中外に出るのが拷問のように感じるように。つい最近もメガネを買うため仕方なく日中に出かけたが、人に酔ってしまった。若い頃に渋谷や新宿に買い物に出かけていた人とは思えない。病気のせいもあるが、歳をとったということだろう。

住宅もAI化

米国スタンフォード大学の研究者が企業したベンチャー、ブレイン・オブ・シングスが開発した「AI(人工知能)住宅」が注目を集めています。居住者の嗜好や行動をAIに学習させることによって、照明や換気扇が自動で動いたり、自然光で目覚めるように最適なタイミングでカーテンが開いたりします。またコーヒーが指定した時刻にできたり、ロボットが一日の予定を読み上げてくれたり、テレビの音量や浴室の温度調整、部屋の掃除、ペットの餌やりなども自動で可能になるそうです。

AIの普及により様々なことが自動化されるこういった物件は住宅の付加価値が4%高まるとも言われておりこれから不動産を購入する人はこういった設備の有無も判断材料になるのではないかと思います。

このほかにも、空き家となってしまった戸建てをどうするか?中古リノベーション物件の購入判断ポイントなども載っていて不動産に関するあれこれが学べる書籍となっています。