book00337

私たちの決断は、99.9%までが他人によって方向付けられており、むしろ他人の影響を受けない意思決定や行動を見つける方が難しい。実際、日常の中にあるすべての領域を見渡してみても、社会的影響力が見られないところはたったひとつしかない。それは自分自身だ。Google, Facebook, Microsoft, GM, コカコーラなど世界中の企業から講演依頼殺到している意思決定の秘密を暴く全米ベストセラー。

より多く人に見られている方が、より人に好かれる

調査は単純なものだ。学生は、男女とも、四人の女性が写った写真(A、B、C、Dの記号がついたもの)を見て、それぞれいくつかの質問に答えるよう求められる。それぞれの女性のどこが魅力的だと思うか?その女性と一緒に過ごして楽しめると思うか?その女性と友だちになりたいと思うか?

四人ともこれといって特徴のない典型的な大学生。しかし、回答を集めてみると、そこにははっきりとしたパターンがあった。授業に出ていた回数が多い女性ほど魅力的だという回答が多かったのだ。つまりより多く人に見られている方が、より人に好かれるということになる。おいおいそれはたまたま、出席回数が多かった生徒が美人だったのではないか?という意見もあるかもしれないので、そこを補完するために、この授業に出席していなかった生徒に聞いてみたところ、全員同じくらいの魅力だという回答が得られた。人は見に触れる機会が多いものを好きになるというのは、それ自体が面白い考え方だが、さらに興味深いのは、それが起こっていることに本人は全く気づいていないことだ。学生の皆さん、講義は欠席せずにちゃんと出た方が〝モテ〟につながるよww ちなみに僕の場合、講義はサボってばかりだったけど、必ずサークルの部室にいる男としてそこそこモテました。

ベストセラーをついてにとってしまう訳

ある本がベストセラーリストに載っていれば、その本の概要に目を通す可能性は高くなる。もしある曲がすでに人気があるなら、それをためしに聞いてみる可能性は高くなる。誰かについていくことは、時間の節約になり、そして(うまくいけば)自分が楽しめることのできる何かにたどりつける。

こうやってたどり着いた本や楽曲を私たちが全部気に入るかといえば、そうではない。しかしそれらをチェックしてみようという気になることも多く、競合する何千何万という商品があることを考えると、このように注目が集まることは、その商品に勢いを与えるには充分なのだ。他の誰かが気に入って入る商品ということで、疑わしく思う気持ちが好意的に変わることすらある。それだけ多くの人に支持されるのならきっと良い商品なのだろうと。僕は自分の審美眼が絶対だと思い譲らないタイプなので、しばしば世間との隔たりを感じることはあるが、それもまた一興。

集団浅慮(グループシンク)

集団の意思決定では、しばしば同調やグループ内での調和を求める気持ちが、グループをよくない意思決定に導いてしまう、集団浅慮というものに影響される。

音楽ダウンロードの実験で最初に聞いた数人の好みによって、どの曲に人気が集まるかが決まるのと同じように誰が口火を切るかで大きく左右される。特にグループの中で中立的な立場の人間は同調しやすく、誰かが強く反対しなければ、反対意見を持っていても外に出さない。そうやって集団浅慮(グループシンク)はスペースシャトル・チャレンジャー打ち上げ事故やキューバ危機など愚かな意思決定へと向かっていくのだ。こうした愚行に至らないためには、「異論を唱える声は一つあれば充分だ」ということを覚えておこう。そうすれば埋もれていた反対意見も顔を出すだろう。

パーソナライズした体験

スターバックスのような場所の成功もまた、違いという観点から説明することができる。もちろん、少しいい豆を使っていたり、雰囲気がちょっと良かったりするかもしれないが、それでもコーヒー一杯の値段は、マクドナルドやその他のテイクアウト店の三、四倍はする。では、人々が喜んでその高い値段でコーヒーを買うのはなぜか?

スターバックスでは注文するときも客個人が好きな用にカスタマイズすることが可能だ。彼らはただコーヒーを売るのではなく〝パーソナライズした体験〟を売っている。自分が特別な存在で、みんなとは違う。その違いを買っていると思えば安いものではないか。

安いものと高いものが同じに見えるとき

高価なブランド品を買うのは、質が高いからだということはできるが、しかし、それはラグジュアリー・ブランドが比較的目立たないブランド表示に対してプレミアムな価格を設定していることの説明にはならない。たとえば、メルセデス・ベンツはボンネットに小さなエンブレムをつけている。価格が五〇〇〇ドル高くなるごとに、そのロゴは、一センチずつ小さくなる。<グッチ>のハンドバッグや<ルイ・ヴィトン>の靴も同様のパターンだ。より目立たないロゴの着いたラグジュアリー・アイテムほど、高い値がついている。静かなシグナルほどコストがかかる。

<クリスチャン・ルブタン>の赤い靴底、<ボッテガ・ヴェネタ>の手編みイントレチャートなど、大きなロゴやなんかがついてなくても(多くの人が気づかなくても)、流行に敏感な人ならその標識を見分け、理解することができる。

僕たちは普段、気にもしないところから社会的影響を受けている。自分の意思だと思っていたものが実は他人からの影響だったりする。そんな〝見えない力〟を理解すると違った選択肢も見えてくるのではなかろうか?ならば自分自身を強く持つことで他人に影響を与える人間でありたいと思わせられる書籍だった。